コヒナ第1号アイテムはセットアップだった

 創業時、田中さんがコヒナの第1号アイテムとして選んだのは、セットアップ(トップス+スカート)だった。

 「セットアップは上下両方のサイズが合わないと着られないため、これまで『片方だけサイズが合わない……』ということになりがちだったアイテムです。上下2着あれば、それぞれ他の服に合わせて着回しもできるので、まずはセットアップがベストだと判断しました」

 基本は20~30代女性をターゲットにしていたが、「年代やライフスタイルに左右されることなく、誰もがターゲットになり得るアイテムを意識しました。ビジネスとしても大きく成長させたかったので、ターゲットを狭め過ぎることもしたくないと思ったんです」

 デザインを固める際には、当時発売されていたファッション雑誌にはすべて目を通し、30店舗以上の店を回って試着。研究を重ねた結果、「きれいめカジュアル」のデザインにすることに決めた。

 「当時、ギャル向けのデザインや甘いデザインの服、オフィス向けのかっちりとした服などは、既に他のブランドから小柄女性向けの服が発売されていました。でも、オンでもオフでも着られる『きれいめカジュアル』の服はなかったので、市場規模も大きく、ビジネスとしての成長性も高いと思いました」

 具体的な服のデザインとしては、トップスは首回りをスッキリ見せるVネックを採用。かがんだときに胸元が見え過ぎないよう、Vネックの深さも小柄女性向けに調整した。また、スカートはややハイウエストにすることで、腰の位置を高く見せてスタイルアップするような工夫を凝らした。

セットアップのデザインを決める際には、当時発売されていたファッション雑誌にはすべて目を通し、30店舗以上の店を回って試着したという田中さん
セットアップのデザインを決める際には、当時発売されていたファッション雑誌にはすべて目を通し、30店舗以上の店を回って試着したという田中さん