数カ月前とのギャップに思わず笑み、留学先での体験とは?

 留学先のロンドンでは、そこで出会ったたくさんの人たちの家を訪問する機会があったという。

 「私が出会った方々は、食卓に花を飾ったり、庭やベランダで花を育てたりすることが日常でした。また、町の至る所にフラワーショップがあり、老若男女問わず『花が好き』という印象で、都会でも自然が身近にある暮らしができていることに感動しました。だから、『東京でも自然と人間との距離が近い暮らしを実現したい』という気持ちが強くなっていったんです」

 また、コッツウォルズの古城で見習いガーデナーとして働いたことも、前田さんにとって忘れられない経験となった。「ガーデナーの仕事は、重たいホースを持って広大な庭園に水をまいたり、地面にはいつくばって雑草を抜いたりする重労働が多く、支給されたユニホームを泥だらけにして働いていました」

 そんな自分の姿を鏡で見て、前田さんは「思わず笑いがこみ上げてきた」と語る。

 「ほんの数カ月前までは、用意されたきれいな服を着てテレビに出ていたことが信じられなかったんです。泥だらけの自分も悪くないと思えたのは、花や緑に囲まれて心が満たされ、本当の自分らしさを実感できたからだと思います」

数カ月前とは違う自分、本当の自分らしさを実感できた