燃え尽きた後、現役続行を決断させた父の言葉

 「当時はまだ25歳で、年齢的には柔道を続けるべきだと分かっていたのですが、やる気が全く起きない状態でした。4年後のリオデジャネイロオリンピックにも挑戦し、再びメダルを取って、後輩たちにより多くのことを伝えられる自分でいたい。そう思ってはいたのですが、なかなかやる気に火がつかず……」

 そして心理学の本をたくさん読むなどして、何とか自分を奮い立たせようとしていたある日のことだった。「現役を続ける決心がつかず、ずっと心理学系の本を読みふけっている私を心配したのか、父が『薫、俺をリオに連れていってくれ』と言ってくれたんです。それがまた私の『目標』となって、くすぶった状態から脱することができました

 父のひと言で新たな目標を見出し、松本さんは2016年開催のリオデジャネイロオリンピックに挑戦することを決断。同オリンピックでも「野獣」となり、銅メダルを獲得した。そしてこのリオデジャネイロオリンピックの2カ月後、松本さんは8年交際した料理人の恋人と結婚した。

現在は、東京・高田馬場のアイスクリーム店「ダシーズ」で、アイスクリームの研究・開発をしている松本さん。松本さんが選んだセカンドキャリアについては後編で!
現在は、東京・高田馬場のアイスクリーム店「ダシーズ」で、アイスクリームの研究・開発をしている松本さん。松本さんが選んだセカンドキャリアについては後編で!

 ★後編はこちら「アイスでも『金』 柔道メダリスト松本薫の第2の人生」

取材・文/茅島奈緒深 写真/稲垣純也、ベネシード提供