この連載では、各分野で活躍している人たちに「人生を左右した決断」についてインタビュー。今回は、新聞記者として活躍後、「突っ張り棒」で有名な平安伸銅工業の3代目社長となった竹内香予子さんの「決断」に迫ります。(doors特選シリーズ/2022年11月25日の記事を再公開します)
(上) 新聞社辞め突っ張り棒社長に「家業は継ぎたくなかった」
(下)夫婦で事業軌道に乗せるも育休後アイデンティティー崩壊 ←今回はここ
夫の入社後、複数の新規プロジェクトを同時進行
新聞記者を辞め、27歳のときに父親が経営する平安伸銅工業に入社した竹内香予子さん。入社後は開発部で経験を積んでいたが、父親の体調不良がきっかけで取締役総務部長に就任。急きょ経営に携わることになり、同じ熱量で会社をリードしてくれる相棒として夫の一紘さんを同社にスカウトし、2014年から夫婦で新規事業をスタートさせた。
「まずは整理収納に関するウェブメディアを立ち上げ、突っ張り棒をはじめとした便利な収納グッズをどう使うのかなどの情報発信を開始しました。順調にアクセス数は伸びていたものの、3年たっても目標の収益には届かなかったので、このウェブメディアは一緒に立ち上げた仲間に譲渡。最初から『3年で目標に到達しなければ手を引く』と決めていたので、当初の撤退基準に沿った経営判断でした」
しかし、手掛けていたのはウェブメディア事業だけではない。同時進行で、突っ張り棒の技術を生かした新規プロジェクトも展開していた。