不妊に悩んだとき、女性は「自分に原因があるのでは」と一人で抱えてしまいがち。男性に原因がある場合も少なくないにも関わらず、心身ともに女性側の負担が大きいのが現状です。「いつかは子どもが欲しい」と願うdoors読者に向けて、産婦人科医の月花瑶子先生が、パートナーも一緒に取り組める妊活の基礎知識と、計画通りにいかなかったときの生殖治療についてレクチャーします。

日経doorsアカデミー 不妊治療専門クリニック医師 月花瑶子先生 知っておきたい 妊活はじめの一歩

不妊治療専門クリニックの医師・月花瑶子先生が妊活を基本から分かりやすく教えてくれる日経doors妊活アカデミーもいよいよ最終回。今回は「不妊治療とお金」をテーマにお届けします。不妊治療には一部健康保険が適用されるものがありますが、ほとんどが保険適用外で、体外受精や顕微授精といった高度生殖医療になると1周期の治療費は30万~80万円と経済的負担が大きくのしかかります。菅義偉首相は少子化対策の柱として、不妊治療の健康保険の適用拡大に意欲を示し、助成制度の所得制限を撤廃することにも言及、厚生労働省は不妊治療の費用助成制度の見直し案の調整に入っていますが、先行きはまだ不透明な状態です。現状、不妊治療とそれにかかるお金はどれくらいなのか、治療のやめ時、卵子凍結という選択肢についても考えていきます。

不妊治療の多くは保険適用外

 不妊治療には、保険が利くもの、利かないものがあります。治療のステップごとにかかる費用の目安を解説していきましょう。

(1)不妊基本検査 費用の目安:2万~8万円

 不妊治療のファーストステップとなる不妊基本検査には、保険適用のものと適用外のものがあります。血液検査はほとんどが保険適用で(一部、適用外もあり)、子宮卵管造影検査や超音波検査(回数制限あり)も保険が適用されます。性感染症検査や精密な精液検査は適用外です。

(2)タイミング指導 費用の目安:数千円~2万円

 こちらも保険適用のケースと適用外のケースがあります。超音波検査は月2回までは保険適用ですが、3回以上の検査や、排卵を促すための排卵誘発剤が処方されると保険適用外となる場合があります。保険適用なら1回2000~3000円の自己負担ですが、適用外だと1万~2万円が目安です。

(3)人工授精 費用目安:1万5000円~5万円

 人工授精は保険適用外です。1回当たり2万~3万円のクリニックが多いですが、ホルモン補充療法や漢方薬などを併用すれば5万円程度かかることもあります。

(4)体外受精 (5)顕微授精 費用目安:30万~80万円

 高度生殖医療(体外受精、顕微授精)も保険適用外です。体外受精では30万~50万円、顕微授精では40万~60万円ほどかかるクリニックが多いです。採卵後の凍結胚の個数や、投与する薬の量によって、かかる費用に幅があります。

 高度生殖医療では経済的負担が大きくなります。そこで国は、費用の一部を助成する「特定治療支援事業制度」として、助成金を設けています。ただし、全員が何度でも申請できるわけではありません。

 申請条件を、次のページから解説していきます。