グローバルにビジネスの最前線で働きたい人に人気の総合商社。実際にどんな基準で学生を採用しているのでしょうか。ハードワーク? 海外転勤は場所を希望できるの? と、入社後の働き方も気になります。そこで今回、伊藤忠商事の人事・総務部 採用・人材マネジメント室の佐々木由子さんに取材。「人材多様化プロジェクトリーダー」として、多様な人材が働きやすい環境づくりの仕事も担う佐々木さんに、総合商社の働き方だけでなく、伊藤忠商事の大事にしている価値観や求める人材像について聞きました。

PR動画を通じて学生一人ひとりの個性を評価

日経doors編集部(以下、――) 伊藤忠商事はグローバルに働きたい人に人気ですよね。早速ですが、(1)新卒の採用過程について教えてください。

佐々木 2021年度新卒採用をベースに答えますと、3月1日からエントリーの受け付けを開始し、総合職は3月25日がエントリーの締め切りです。エントリーには、エントリーシート、自分のPR動画、大学の成績の提出、およびテストセンターの受験が必要です。これらを総合的に判断し、合格した方には6月1日以降に面接を受けてもらいます。

―― PR動画はどのような内容ですか?

佐々木 1分間で1つの質問に答えてもらいます。今回は、「あなたのこれまでの経験を、どのように伊藤忠商事で生かすことができると思いますか」という質問です。書類だけではなく動画を通して、学生一人ひとりの思いをよりくみ取ることができると考えています。

―― 大学での成績も提出するんですね! やはり大学の成績が悪いと印象が良くないのですか?

佐々木 成績の良しあしで合否判断はしませんが、成績が良い人は主体的に学業に取り組む姿勢を持っていることが分かりますので、学生の皆さんの特徴を見る1つの指標として活用しています。

五大商社の中で最も少人数

―― (2)では、説明会やセミナーの場でしっかり伝えようと意識している点はありますか?

佐々木 総合商社のビジネスの内容だけではなく、当社特有の社風や価値観をより理解していただけるように心掛けています。伊藤忠商事、住友商事、丸紅、三井物産、三菱商事をまとめて五大商社という言い方をされますが、当社はその五大商社で最も社員数が少ないんです

 ですから、一人ひとりの責任や仕事の範囲が広いです。私も、人材多様化プロジェクトリーダーとしてダイバーシティーを進めていますが、女性活躍・介護など幅広い分野について、制度設計から運用、風土醸成につなげていくところまで一気通貫して担当しています。少数精鋭で、若手のうちから活躍できる会社だということは、実体験として学生さんに向けて伝えていますね。責任は重いですが、やりがいもとても大きいです。

伊藤忠商事採用・人材マネジメント室の佐々木由子さん。「少数精鋭で若手から活躍できる会社です」
伊藤忠商事採用・人材マネジメント室の佐々木由子さん。「少数精鋭で若手から活躍できる会社です」

―― 一般職も採用されていますよね。その選考過程は総合職とは違いますか?

佐々木 弊社ではいわゆる一般職を事務職と呼んでいます。エントリーの締め切りが4月28日と総合職と異なりますが、エントリー要件や選考課程はおおむね変わらないです。