就活に関する20の質問を投げかけるインタビューの前編では、人事・総務部採用・人材マネジメント室の佐々木由子さんに、主に新卒の選考過程や求める人材像について話してもらいました。続く後編では、気になる海外駐在事情や、女性のライフイベントとの両立を進める取り組みについて聞きました。

子育て中の女性が海外でも働きたい気持ちを支援

日経doors編集部(以下、――) 女性活躍の状況についてもお聞きしたいんですが、(10)取締役や管理職における女性比率はどれくらいですか?

佐々木由子さん(以下、佐々木) 取締役は、10人中2人の女性社外取締役がいるため2割です。管理職の比率は、課長クラス以上の割合でいうと7.7%です。

―― 女性管理職の比率は少ない印象ですね。総合職は海外を含めた転勤もあって、女性が管理職になるハードルが高いのでしょうか?

佐々木 今の管理職の世代では女性は事務職として働くというイメージもあり、総合職の女性比率が高くありませんでした。今は総合職の女性が増えてきていますので、まずはより多くの女性に長く働き続けてもらうための環境づくりが大事だと思っています。女性も長く働いて積極的にキャリアアップしていきたいというマインドセットを持てるような研修や、ライフイベントを乗り越えるための支援を充実させています。

伊藤忠商事採用・人材マネジメント室の佐々木由子さん。「女性を含めた多様な社員一人ひとりの挑戦を支える環境づくりに励んでいます」
伊藤忠商事採用・人材マネジメント室の佐々木由子さん。「女性を含めた多様な社員一人ひとりの挑戦を支える環境づくりに励んでいます」

―― 子育て中で転勤できない人のために、女性総合職の転勤をなくしてみるというのはどうですか?

佐々木 そういったご意見も貴重なのですが、当社としては、女性のチャレンジや働き方を制限する方針は取りたくないと思っています。総合商社に総合職で入ってくる女性の多くは、海外で働きたい思いを持っているんですよね。その気持ちを支援する制度を整えたいです。既に子どもだけを連れて海外に赴任できる「子女のみ帯同」という制度もあります。女性総合職の転勤をなしにするのではなく、海外や各拠点に行きたい人が、より安心できる制度を浸透させていきたいと思っています。