他社で仕事ができる「留職」
―― (8)最近は転職志向が高い人も多いのですが、転職したい人は選考で不利ですか?
内田 転職を考えているということが合否に影響することはありません。しかし、先ほど申し上げた話と重複しますが、最初から転職ありきで、スローガンに共感が出来ない人が入社した場合はよい選択にならない可能性があります。
だからこそ、お話を聞いた上でよりよい一歩を踏み出せる場所がパナソニックでない場合は、違う道を勧めることもあります。
また、パナソニックに入社して働いているうちに、新たなやりたいことを見つけて転職する人や一度他社に転職しても再度パナソニックでやりたいことを見つけて戻ってくる人もいます。
―― (9)副業をしたいという人は採用しますか?
内田 副業は原則として認めていません。ただ、社内の制度に「社内複業」と、社外に「留職」できる制度があります。社内複業は、社内で本業とは別の職種や仕事の領域で週に何日か勤務できる制度です。先ほどお伝えした事業領域と職種の多様さがあるパナソニックだからこそできる制度かもしれませんね。また、パナソニックに籍を置きながら違う会社で働くことができるのが、社外留職です。
―― 面白いですね! 社外留職で行く会社は決められているのですか?
内田 行きたい会社はある程度自分で決めることができます。社内複業も社外留職も、いろいろな経験の中で成長し、元の職場でイノベーションを起こしてもらいたいという考えに基づいています。
―― 給料は、働きに行った会社から出るのですか?
内田 パナソニックの社員ですので、パナソニックが支払います。パナソニックの社員の知見が得られるという点にメリットを感じて、受け入れてくださる会社さんが多いです。
―― 社外留職している人は多いですか?
内田 スタートして2年目ですが、年間で約10人が社外留職しています。社内複業をする社員は時期にもよりますが100~200人ぐらいです。複業は業務の範囲は増えますが、自分から進んで別部署での仕事を経験していますので、みんな生き生きとしていて、どちらの場所にも相乗効果を生んでいる様子が見受けられますね。
取材・文/川辺美希 写真/山田哲也