ますますAIが発達していくと言われる中、未来の仕事はどのように変化するのでしょうか。これから就職活動を始める学生にとっても気になる話題のはず。AIに取って代わられる仕事、または逆に需要が増す仕事とはそれぞれ何か、教育改革実践家の藤原和博さんにお話を伺いました。

AI台頭で、生まれる仕事もある

日経doors編集部(以下、――) 今後、人々の仕事がAIに取って代わられるのではないかということが話題になっています。実際にそうなってしまうのでしょうか。

藤原和博さん(以下、藤原) AIが人間の仕事を奪い、人類の脅威になるのではないかと今、世界中で議論されていますが、そうはならないと思います。もちろんAIによってなくなる仕事はあるでしょう。その一例が、税理士や会計士。複雑な計算式を経ても、「必ず1つの正解にたどり着く仕事」です。AIは正解を導き出す作業は得意なので、こういう仕事の定型部分を人間から奪っていく可能性は高い。

AIの台頭によってすべての仕事が奪われるわけではないという
AIの台頭によってすべての仕事が奪われるわけではないという

 一方で、AIの台頭によって、生まれる仕事もあると思います。その1つがプログラマー。

これまではビルや道路が建設されることで都市は潤い、いわば、コンクリートと鉄によって経済は発展してきましたが、今後はネットワークの中で様々なものが作られていく。つまり、あらゆる分野でプログラミングができる人材が求められていくでしょう。

 さまざまな事象がデータ化されていくので、そのデータを比較し、そこからイマジネーションを働かせることができるデータアナリストといった仕事も需要があると思います。

 またYouTuberもより稼げる仕事になっていきます。これまで番組を制作する際は放送局が演出を考え、タレント事務所が演者を送り込むなど複数の関係者が介在していた。一方、YouTuberはたった一人で演出を考え、自ら出演し、思い切ったパフォーマンスをすることもできる。だからこそ、多くの人を引き付けることも可能です。既に米国では10億円単位で稼ぐ人も現れているようです。

 さらに、AIが発展することで、逆に人間にしかできないこと、例えば誰かとコミュニケーションを取ったり、相手にぬくもりや癒やしを与えたりするといった基礎的な人間力が問われる仕事はより重要性が増すと思います。例えば保育や介護、看護などのほか、教員も当てはまるように思います。