「苦手な野菜をたくさん食べたい」が発想の原点

 「私はもともとラーメンが大好きで、野菜が苦手(笑)。そんな人でも野菜がおいしくたくさん食べられる商品を作りたいという発想からスタートしました。他社さんにもサラダ麺の商品はすでにありましたが、主食として食べるのか、健康を気にする人が食べるのか、その用途がはっきりしなかった。だから私は、シンプルに野菜をたくさん食べられる方法はないかと考えて、無限レシピに注目したんです」

1野菜嫌いの視点で考えた「野菜をたくさん食べる」というシンプルな目的

 無限レシピとは、味付けの工夫で野菜がたくさん食べられるメニュー。料理動画やレシピサイトで紹介されている「無限ピーマン」や「無限しりしり」などのレシピが、主婦を中心に人気だ。「無限レシピ」というワードに魅力を感じたものの、どの程度知られているかは未知数。澤田さんは、無限レシピの認知度を知るため、社内の女性にアンケートをとった。すると7割の人は無限レシピを知っていて、そのうち3割は作った経験があるという結果に。「野菜を食べる」というシンプルな目的と、「無限」というキーワードで商品設計をすることに決めた。

何度も口に運びたくなる「やみつき感」にこだわった
何度も口に運びたくなる「やみつき感」にこだわった

 使う人のわかりやすさを考えて、野菜は具体的に指定することに決定。簡便さにもこだわり、できるだけ調理のステップを省くため、生のまま使えるキャベツの千切りを選んだ。「キャベツは冷蔵庫に残りがちな食材としてよく挙げられます。一方でパックされているカット野菜も人気です。揚げ麺とのからみやすい長細い形状と、カット野菜でも作れるという手軽さから、指定する野菜はキャベツで行くことに決めました」

2生野菜を混ぜるだけで作れる簡単さ

 簡便さに加えて、澤田さんが力を入れたのが味付けだ。ただおいしいだけでなく、何度も口に運びたくなる「やみつき感」にこだわった。味の開発を行う総合研究所と、野菜をたくさん食べられる味付けを作るため話し合いを重ねた。ごま油をメインとした特製油で、食欲をそそる香りを実現。粉末スープは、おいしい味付けをするだけでなく、野菜の水分を吸って揚げ麺と混ざりやすくするという効果もある。

 「味の開発は、普通なら何度か試作を重ねるんですが、総合研究所が作ってくれたパリパリ無限キャベツのもとの味は一発目ですごくおいしくて、そのまま仕様が決まりました。『これだ!』っていう味でしたね。お客様からの不満もないので、しばらくは変えたくないこだわりの味です」と澤田さんは胸を張る。

3何度も口に運びたくなる「やみつき感」にこだわった味付け