ボトル入りの紅茶飲料市場で異例のヒットを飛ばしているのが、「甘くない」がコンセプトの「午後の紅茶 ザ・マイスターズ」シリーズだ。2019年3月に発売された「午後の紅茶 ザ・マイスターズ ミルクティー」、そして20年3月に登場した新フレーバー「オレンジティー」も、働く女性を中心に人気。午後の紅茶の甘いイメージを覆し広く支持されたこのヒット商品は、どのようにして生まれたのだろうか。開発を手がけたキリンビバレッジマーケティング部の加藤麻里子さんに、商品誕生までのストーリーを聞いた。

ヒットを生み出したワケ/(1)万人に支持される甘くない味のバランスを追求/(2)うま味とコクを実現する茶葉と製法のこだわり/(3)甘さ離れの世代に響く「甘くない・微糖」というキーワード/(4)活性化する棚に切り込む新しいボトルの形状

紅茶市場拡大のため着目した大人女子の「甘さ」離れ

 1986年の発売以来、ペットボトル入り紅茶飲料市場をリードしてきた「午後の紅茶」ブランド。その新商品で、30~40代の女性を中心にヒットしているのが「午後の紅茶 ザ・マイスターズ ミルクティー」だ。2019年3月に発売し、12月までに累計販売本数6800万本を突破。午後の紅茶の過去10年の商品展開の中で、異例のヒットを飛ばしている。商品開発のきっかけを、キリンビバレッジマーケティング部・加藤麻里子さんはこう語る。「午後の紅茶は、ボトル入りの紅茶飲料のシェアはトップですが、清涼飲料業界の中で紅茶が占める市場規模は5%程度です。この小さな規模の中で戦うのではなく、紅茶市場自体を大きくしていかなければという課題が、ザ・マイスターズ開発のきっかけでした」