本格派ビールの飲みごたえと糖質ゼロを実現し、人気を集めたパーフェクトサントリービール。5年の歳月をかけて完成した糖質ゼロビールの発売に当たって、宣伝や販売においてどのような施策が行われたのだろうか。商品開発までの経緯を聞いた前編「2週間で2500万本売れたビール開発秘話」に続いて、ブランドマネージャーの稲垣亜梨沙さんに、発売直前や発売後のプロモーションの工夫や、ヒットを持続させるための取り組みについて聞いた。

(上)サントリー 2週間で2500万本売れたビール開発秘話
(下)2500万本売れたサントリーのビール 1万人の声拡散 ←今回はここ

<ヒットを持続させたワケ>1.おいしさと糖質ゼロの両立への驚きの声が広がる仕掛け/2.広告と店頭で継続的にユーザーへ訴求を続ける/3.営業部門の士気を高めるプロジェクト/4.堂々とおいしさを伝えるプロモーションに注力

発売前のモニターキャンペーンに約33万人応募

 糖質ゼロと、本格派ビールの飲みごたえやおいしさを両立させたパーフェクトサントリービール。商品が完成した後は、どのようにその魅力を訴求したのだろうか。

 ブランドマネージャーの稲垣亜梨沙さんは、「とにかく味に自信がありましたので、発売時のプロモーションについては、実際に飲んでいただくことに注力しました」と振り返る。

 発売に先駆けて行われたモニターキャンペーンには、当選者5万人に対し33万人もの応募があった。「2度驚くキャンペーン」と題されたこのキャンペーンの仕組みは、まずはパッケージの「糖質ゼロ」の部分をシールで隠した状態でユーザーが試飲。次に、シールをはがして飲んでもらうという施策を実施した。

 「糖質ゼロと知らずに飲んでも、スタンダードなビールと同等かそれ以上においしいものができたという自信があったので、まずは糖質ゼロと分からない状態で飲んでもらい、ビール自体のおいしさに驚いていただきたかったんです。さらに、シールをはがしてみると、本当に糖質ゼロなの? と驚く。そんな驚きの声を、SNSで1万件くらい投稿していただけました」

 このモニターキャンペーンに加えて、さらに100万本以上のサンプリングも実施。実際に商品を味わい、その味と、糖質ゼロということに驚いてもらうことで認知を広げた。味への高評価は、リピートにつながり売り上げが拡大。2021年4月の発売から2週間で、2500万本突破(350ml缶換算)というサントリーの機能系ビール新製品としては近年にないヒットを記録した。