テレビCMで新商品の驚きを表現

 商品が完成してからも、市場で受け入れてもらえるか不安があったと竹岡さんは言う。おにぎりをよく作る人にとっても、温かいご飯に冷凍食品をそのまま入れるという作り方はなじみがない。消費者に受け入れてもらえるかどうかを確認するため、発売前にユーザー調査を実施した。

 「こういう商品があったらどうですか?という調査を、子どもがいる女性に向けて実施しました。『すごい助かる!』とか、『この商品で、冷凍食品のイメージが変わったらいいですね』という高評価をいただけて、自信を持って発売に踏み切れました」と竹岡さんは言う。

 発売のタイミングに合わせて放送したテレビCMでは、冷凍のおにぎり具材という斬新さやサプライズを表現した。CMには、子育て中の女性に人気の嵐の櫻井翔さんが出演。トロトロのカレーをおにぎりに入れて握ってみるがうまくいかず、おにぎり丸でカレー入りのおいしいおにぎりを作る。その後、子どもたちがワーッと飛び出してきて櫻井さんが驚く、というストーリーだ。「普通ならできないことがおにぎり丸ではできるという驚きと、子どもが喜ぶ姿を特に意識して伝えました」と竹岡さんは言う。

 2017年2月、おにぎり丸は「甘口ポークカレー」、「野菜たっぷりビビンバ」、「おいしいギョーザ」、「ちいさな豚角煮」、「甘くち麻婆豆腐」というラインナップで発売。店頭施策やテレビCMも反響を呼び、当初の想定を超えて、発売後に出荷制限がかかるほど売れた。冷凍食品の新商品としては異例のヒットだという。おにぎり丸の人気を継続させ、定番として根付かせるまでの施策については、続く冷食異例の人気おにぎり丸 あえてサイズを小さく改良にて。

取材・文/川辺美希