2018年に放送された連続ドラマ『おっさんずラブ』がこの夏、映画化。優しいけどだらしないダメサラリーマンが、頼れる上司と部下というふたりの男性の間で揺れるラブストーリーのその後を描く劇場版だ。連続ドラマの前身である単発ドラマから作品を担当するテレビ朝日プロデューサーの貴島彩理さんに、日本中を熱狂させたドラマ誕生のきっかけからヒットの舞台裏、劇場版への思いまでを聞いた。

きっかけは「同性の友達と恋愛しちゃいけないんだっけ?」

 おっさん同士の恋愛を描いた2018年の連続ドラマ『おっさんずラブ』。放送を重ねるごとに話題をさらい、人気を集め、Twitterトレンドワード世界1位や新語・流行語大賞トップ10入りなどの実績も含めて社会現象となったドラマだ。そしてファン待望の映画『劇場版 おっさんずラブ ~LOVE or DEAD~』が、この夏公開される。

 作品の始まりは2016年の単発深夜ドラマ。テレビ朝日の若手トライアル企画の1本である同作を担当したのが、テレビ朝日プロデューサーの貴島彩理さんだ。『おっさんずラブ』は、入社後バラエティーなどを担当してきた貴島さんが初めて手掛けたドラマ。先輩の助けを借りながら手探りで作り上げた作品は、視聴者から「続きを見たい」という大きな反響を得て、2018年に「土曜ナイトドラマ」枠で連続ドラマ化された。

 おっさん同士の恋愛ドラマを作ったきっかけは、貴島さん自身が周囲との関わりの中で感じた疑問だった。

 「田中圭さんが演じた春田は、実家暮らしで何もできないポンコツサラリーマンですが、恥ずかしながら私も春田を超えるようなポンコツダメ女でして……(笑)」と貴島さんは切り出した。

 「実家暮らしで洗濯も料理もできないし、友人と旅行に行っても迷子になるから道案内はおまかせ状態。しまいには昼寝しちゃうようなタイプ。でも友人はみんなとても優しくて、『仕方がないなぁ』と言いながら世話を焼いてくれる。私自身もその友人をすごく大切な存在だと思っていて、ふと、もし彼女に突然『好きだ』って言われたら、どうするんだろうと想像したら、一瞬よく分からなくなったんです。それがこの物語を思い付いたきっかけです

 働くことが一番大事で身の回りのことにだらしない自分、一方で、世の男性だって自分の代わりに家事や料理をしてくれる結婚相手を探しているだろう。男女共に働く現代、お互いに異性でそういう相手を見つけようとすると平行線で行き詰まるけれど、もし理想的な同性が現れたら……果たして引かれてしまうのだろうか。「付き合ってほしい」と言われて断るとしたら、同じ女性だからという理由しかないのかという素朴な疑問を見逃さず、それをそのままダイレクトにドラマに反映していった

注目
(1)身の回りの素朴な疑問をダイレクトに形にした

 会社の頼れる上司と部下からアプローチをされるという設定にしたのは、会社で働く人たちの姿を描きたい、会社員に共感してもらえる物語を表現したいと考えたからだ。「本当に尊敬している上司から、ある日『好きです』って言われたら、すごく悩んでしまいますよね。人としては好きだからその気持ちにも応えたいけれど、これからも上司と部下として一緒に仕事していきたいという、同じ会社だからこその悩みも生まれると思うんです」。

貴島プロデューサーが突然大切な女友達に「好きだ」と言われたら自分はどうするんだろう、と考えたのがドラマのきっかけ
『劇場版おっさんずラブ ~LOVE or DEAD~』。2019年8月23日に全国東宝系で公開予定