ナギサさんは「いい意味での枯れ感」

 ナギサ役の大森南朋さんも、「癒やされる」と評判だった。映画を中心にハードボイルドな印象も強い大森さんのキャスティングは意外に思えたが、「お母さん」のように心でつながる関係性を見事に表現。TBSでは『コウノドリ』(15年、17年)でのチームをまとめる新生児科の部長など、温かく包容力のある役も演じた経験があるため、それほど意外性は意識していなかったそう。

 「大森さんからの提案もあって、原作よりはちょっと柔らかくて、いろいろな表情を持つファニーな感じのキャラクターにしていきました。最初の段階では大森さんの素のかっこいい、色気が垣間見えてしまう部分もあって(笑)。衣装合わせのときなど『いい意味での枯れ感』と言っていたんですが、『おじさん感』も意識して、カッコよく見え過ぎないように話し合いました。最終的には恋愛の方向へ持っていこうと考えていたので、恋愛対象としての存在は維持できるよう、足し引きバランスは意識しました」

原作にはない田所さんは「キュンキュン要員」

 ドラマでは、メイの同業他社のライバルだが、仕事が優秀な上に人柄もルックスも完璧で、職場で遭遇するうちに急接近する田所優太(瀬戸康史)という、原作には出てこない人物を登場させた。メイとナギサさんの関係性は、お互いの心が通じ合わないとストーリーとして恋愛への展開が成立しない部分があったため恋の進むペースは遅い。オリジナルのキャラクターをつくったのは、この二人の恋愛を加速させる役割も込めたと松本さん。

 また、火曜夜10時枠は、1つ前のクールが少女漫画原作の『恋つづ』で、ストレートな恋のキュンキュン要素全開の作風で多くの女性ファンの支持を得た。近年、恋愛ドラマでヒット作を出すのは難しいといわれる中で、火曜夜を「女性が楽しめるラブストーリー枠」として定着させたい思いもあったという。

 「田所さんの役柄は、瀬戸さんにも『キュンキュン要員です!』と最初に伝えていました。メイの28歳という年齢は、結婚を具体的に考える年なので、家族のように寄り添い安心感のある年上の人との心のつながりと、似たもの同士で年も近い人との恋愛のはざまで悩んでほしいなと。ナギサさんと田所さんの二人を恋愛対象にすることで、28歳のリアルな悩みがより色濃く出るだろうと考えました」