ファッション誌のようなドリーム感

 この作品が支持された理由の1つとして、メイのファッションが果たした役割も大きい。鮮やかな色使いや、個性的なアイテムを組み合わせたコーディネートのほか、アクセサリーも効いていた。

キュンキュン要員として原作にはない、好青年のイケメンエリート・田所を演じた瀬戸康史さん。TASAKIのアクセサリーやステラマッカートニーのバッグなど、メイのファッションも毎回注目の的に
キュンキュン要員として原作にはない、好青年のイケメンエリート・田所を演じた瀬戸康史さん。TASAKIのアクセサリーやステラマッカートニーのバッグなど、メイのファッションも毎回注目の的に

 「個人的には、メイちゃんのファッションを褒められるのが1番うれしい(笑)」と話すように、松本さんも、プロデューサーの岩崎愛奈さんも、ファッションが好き。実際に製薬会社でMRの人たちを取材し、服装も研究した上で、「ドリーム感」を大切にした。

 「実際のMRの方の仕事服としては多少非現実的でも、ドラマとして一歩踏み込んで、こんな服を着て仕事をしたいとか、ファッション誌を見るような感覚で見てもらえたらいいなと思って。スカートの下にパンツの組み合わせは攻め過ぎかなとも思いましたが、多部さんも『せっかくやるなら攻めたいし、振り切りましょう』と言ってくださって。流行やブランドにもかなりこだわりました

 この衣装の部分で尽力したのが、スタイリストの山本杏那さん。2人の出会いは、16年の『逃げ恥』のときに遡る。当時、松本さんは入社2年目で、同作ではサードAD、山本さんはスタイリストのアシスタントを務めていた。

 「当時は、下っ端同士でいつも一緒にマイクロバスに乗ってロケに行ったり、衣装や小物の運搬をしたり。その期間にすごく仲良くなって、プライベートでもたまに食事をしに行く間柄になったんです」

 そこから3年たって山本さんは独立。主にファッション誌やバラエティー、CMで活躍していたが、「久々にドラマをやりませんか」とオファーしたそうだ。新人時代に右も左も分からない中を、共に頑張った間柄で、キャリアアップしての再会は感慨深かったという。

 「衣装合わせのときに、並んでいるラインアップを見て、『杏那さんのセンスを信じてよかった!』と思いました。考えていることも、イメージしていたブランドも一致して。SNSの反応を見ると、このドラマを見て『メイの着ているブランドの服を買った』『あのイヤーカフに憧れる!』とすごく注目してもらい、新鮮でした」


 続く(中)「わたナギ 独身女性だって苦手な家事をプロに頼っていい」では、徹底的なリサーチによってつくり上げられたリアリティーの秘密を紹介していきます。

<INFORMATION>
『私の家政夫ナギサさん』DVD-BOX&Blu-ray BOX
2021年1月13日(水) 発売
発売元:TBS  発売協力:TBSグロウディア
販売元:TCエンタテインメント
(C)四ツ原フリコ/ソルマーレ編集部
※動画配信サービス「Paravi」で配信中

取材・文/内藤悦子(日経エンタテインメント編集部) 取材・構成/加藤京子(日経doors編集部) 松本さん写真/鈴木愛子 番組写真提供/TBS