1回で2倍の量を噴出できる容器を開発

 またバスタブ全体の汚れを落としきるためには、容器にもこだわった。従来の商品では噴出量が少なく、1回のスプレーで洗剤をかけられる範囲が狭く、バスタブ全体にふきかけるには何度もプッシュしなければならない。それではユーザーの負担になる。そこでバスタブクレンジングは1回で従来の2倍を噴出させようと考え、広範囲にかけやすいようにしようと考えた。

 ただ、多くの液を出そうとすると容器のトリガーの引き金が重くなり、レバーを動かす長さも増すため女性の手ではつかみにくい。「ラクに掃除したいのに、洗剤を出すことがストレスになってはいけない。使いやすさと噴射量のバランスを考えて何度も細かく改良して、やっと固すぎずに適量を出しやすいトリガーができました」と武藤さんは語る。

 気づけば開発期間は約7年が経過していた。2018年春に、満を持して商品が完成。発売前に、プロモーションの参考にしようと数人にバスタブクレンジングを1週間使ってもらい、使用前と後で生活がどう変わるのか、ヒアリング調査を実施した。そのユーザーのひとりの表情が、武藤さんは忘れられないという。

 「ある女性の方は、すごく真面目で、仕事も家事も育児も手を抜かずに一生懸命やられていました。こすらないでバスタブが洗えると商品をお渡ししても、使ってもらえるのかな? と不安だったんですが、1週間後に表情がガラッと変わったんです。『本当に楽になりました! 今まで忙しくて子どもとあまり話せなかったんですけど、バスタブクレンジングを使ったら子どもと話す時間がとれるようになりました』と言ってくださったんです」と、武藤さんは振り返る。

「家事はラクをしてもいいんだと思った」というユーザーの声を聞き「絶対に世の中に出さないと行けない商品だと確信しました」
「家事はラクをしてもいいんだと思った」というユーザーの声を聞き「絶対に世の中に出さないと行けない商品だと確信しました」

 「バスタブクレンジングで省ける家事時間は数分かもしれませんが、この方は、『手を抜いてもキレイになるんだ』ということに気付いてくださった。家事は力を抜いてラクをしてもいいんだと、価値観まで変えることができたこの商品は、絶対に世に出さないといけないと確信しました」