こんにちは、佐佐木由美子です。あなたは、これからの長い人生において、どんなふうに働きたいと思っていますか? 「ギグ・エコノミー(インターネットを通じて単発の仕事を請け負う働き方のこと)」という言葉が注目されているように、働き方は多様化しています。今回は、自分らしい働き方としての独立についてお話しします。

誰もが「会社員」以外の働き方を選べる時代

 「働く」といえば、どこかの会社に就職することだと、ずっと思っていました。その当たり前だと信じて疑わなかったことが、実はそれだけではないかもしれない!と気付いた時の衝撃……。それは、働き始めてからのことでした。

 例えばアーティストやクリエイターなど、「特別な才能を持った人」であれば、就職などせずに暮らしていける道もあるだろう、ということは漠然と感じていました。しかし、そんなフワフワしたことばかりは言ってはいられません。女性が経済的に自立し、地に足をつけて生きていくためには、将来性のある企業に就職するか、「手に職」を付けるか、食べていける資格を取るか、公務員になるか……くらいしか、思いつきませんでした。どうも自分は公務員には向いていないだろうと思ったので、民間企業に就職するために、リクルートスーツに身を包み、一生懸命就活したことを覚えています。

 学校を卒業してそのまま就職をした人の中には、今の状況に「あれ?」と思う人がいるかもしれません。会社で働くことは、自宅から満員の通勤ラッシュにもみくちゃにされ、終業時刻になっても仕事は終わらず、残業に追われることなのでしょうか。上を見ても昇進している女性はごくわずかで夢がないものなのでしょうか。しかも、ハードワークでワーク・ライフ・バランスどころか体調さえも崩してしまい、とても仕事と家庭生活とを両立しながら働くことなんてできない……。そう思いをはせると、将来に不安を持つのも無理はありません。

 でも、ちょっと待って! 今の働き方にもし疑問を感じているとしたら、諦めないで今から真剣に、自分らしい理想の働き方を考えてみてほしいのです。

 私がもし、会社に就職する以外の働き方ができることを知っていたら、もっと違う学生時代を送っていたかもしれません。

 私が新卒で入社した会社は外資系企業だったので、伝統的な日本企業よりは風通しはよく、女性にとって恵まれた環境であったとは思います。それでも、女性には「ガラスの天井」が確かに存在していて、それを突き破って働くことは、とても難しい。優秀な先輩たちでさえ、その壁に苦労しているのに、大した取りえもない自分には、とても無理だと思いました。

 でも、ある時ふと思ったのです。会社という枠に合わせて働こうとするから、苦しいのではないか、と。だったら、会社を飛び出してみたらいいじゃない? 当時はまだ珍しかったものの、「女性の起業家」が少しずつ現れ始めた頃でした。

会社という枠に合わせて働こうとするから、苦しいのでは…?
会社という枠に合わせて働こうとするから、苦しいのでは…?

 そうだ、起業すれば、自分らしい働き方ができるかもしれない! 私は20代半ばを過ぎて、会社員以外の働き方を模索し始めました。

 しかし、何をしたらよいか、さっぱり思いつきません。そこで、自分が興味のあることについて、キーワードをひたすらノートに書き出すことから始めました。花、カフェ、香り……。何でもいいから、思いつくままに。さらに、自分が子ども時代、何に興味を持っていたか記憶をたどりました。反対に、「これだけは絶対NO!」ということも書き出しました。そうして、点と点を繋ぎながら、どんなことができるだろうか? どんな働き方がしてみたいか? 想像を膨らませていきました。

 でも、一人でブレストをし続けると、やはり行き詰まるんですね。そこで、意識的に色々な人に会いに行ったり、旅をしたり、好きなものに触れる時間を持ったりするようにしました。特に参考になったのは、実際に独立・起業している人の話を生で聴くこと。華やかなように見えても、その裏でたゆまぬ努力や苦労をしていること、利益を出すことの難しさなど、赤裸々な体験談はリアルに心に響きました。何をやってもリスクはある。だからこそ、自分のやりたいことをしなければ意味がないと、強く思うようになりました。