こんにちは、佐佐木由美子です。この連載では、「好き」だけで仕事を選ぼうとせず、多角的な視点を持とう、という話をしてきました。私自身がキャリアをシフトしようとするときにどうだったかというと……実は、一番の決め手になったことがありました。こんな考え方もあるということで、ぜひ連載最終回に皆さんとシェアさせてもらいたいと思います。

自立して生きるため、私は働く

 かつては会社員として働いていた私ですが、そこからキャリアを大きくシフトして、なぜ今の仕事にたどりついたのか。時々、その理由を聞かれることがあります。転職するだけでもかなりの勇気がいるものですが、自ら起業する以上は安定した給与がもらえるわけではありませんし、雇用する立場になると大きな責任を伴います。

 さまざまな人との出会いや出来事が影響していることは言うまでもありませんが、一言でいうなら、自分の人生におけるミッション(使命と感じるもの)のためということになるでしょう。ちょっと大げさに聞こえるかもしれませんが、ミッションから自分にできることは何かを考えていった結果、今の仕事に導かれたというのが、正直なところです。ただ、そこに至るまでは、かなりの紆余曲折(うよきょくせつ)と時間が必要でした。

 私は子どもの頃から少々理屈っぽいところがあったようで(笑)、昔から男女不平等な社会に疑問を感じていました。当たり前ですが、女性にも意思があります。やりたい仕事があればやればいいし、門戸は開かれるべきなのに、どうもそういうわけにはいかないのはなぜだろう? 必ず結婚しなくちゃいけないの? 男性が稼ぎ、女性が家事・育児を担うという役割分業モデルが、かつての日本社会では一般的だったわけですが、どこか腑(ふ)に落ちないものがありました。誰かに経済的な依存をしている限り、自分の意思で自由に生きられないような気がしたのです(これはあくまでも個人の見解であって、価値観は人それぞれです)。

 だから、私は絶対に自立して生きていこう、と心に決めました。働くことに疑問の余地はありませんでしたが、何をして身を立てるか。生涯を通してできる仕事って何だろう? とよく考えていました。