違う人間なんだから、考えは違って当たり前

 でも、どんなにぶつかっても夫には理想を求めないことにしています。なぜなら、私も完璧ではないし「違う人間なんだから、考えなんて違って当たり前」だから。

 血のつながっている家族でさえ、分かり合えないことってあります。そう考えたら、夫婦間で意見が違うのなんて当然。お互いの違いを受け止め合ったほうが、家族として成り立つと思いませんか。

 ただ、がまんのしすぎもよくないので、けんかした内容の一部は個人的に記録しています(笑)。嫌なことが10あったとしたら、2ぐらいしか書いていませんけど……。後から読み返してネタになりそうなエピソードを書いてます。どこかでネタにしてやろうと思う気持ちがあって、そうすることで、気持ちを消化できています。

 ひどかったエピソードを「あのとき、こんなことがあったの覚えてる……?」とふざけて夫に話すこともあります。いわゆるネタ帳。本気で呪い殺してやるというノリでは全然なくて、「あのとき、こんなこと言われたよ、ひどいよね」と言って、笑うためという……(笑)。

 サーモンのおすし事件も、お互いにそのときはカッとなりましたけど、翌日になれば「あれひどいよね」って二人で笑って。私は私で情緒不安定すぎて笑えるし、夫は夫で身勝手すぎて笑えるし、ひどかったことって時間を置いたら意外と笑えたりするから、そのネタとして寝かせている感じです。

 そんなささいな夫婦げんかエピソードは他にもあります。

 私は妊娠中、妊娠糖尿病になってしまったので、連日、食事制限をしていたんですが、夫はそんな私の横でハーゲンダッツのアイスを「うんまー!!!」と言いながらこれみよがしに食べてました。外食できない私に、会食先からおいしそうなごはんの写真を送ってきたこともあります。あとで本人も「まずいことしたな」って気づいたみたいですが。向こうにしてみれば、無邪気にからかってるつもりでしょうけど、私からすれば「本当につらいんですけど……」って。夫はよくも悪くもお調子者なんです。

 自分のSNSのコメント欄に「私も妊娠糖尿病になっちゃって、夫と一緒に玄米菜食がんばってます」と書き込まれているのを読んで「いいなぁ」って思いました。うちの夫は私が絶対に食べられないものを「お前は食べられなくてかわいそうだな!!」って言いながらむしゃむしゃ食べていました。一緒に頑張ろうとかじゃないんですよ。おまえはおまえ、俺は俺、みたいな。

 妊婦健診に一緒に行ってほしくても、「ジムに行きたいから」「遊びたいから」という理由でついて来てくれないこともありました。一緒に行くからといって何を手伝ってくれるわけでもないんですが、「私一人だけで行くんだね。二人の子どもなのにな」って思ったり、検診中に「この時間、あの人は遊んでいるのか…!」と思ったりしました。そういうことの一部は本にも書いていますが、愚痴を書いて発散したいわけではなく、これから妊娠する方や、その旦那さんに役立ててもらいたいと思って書いています。