全く自分の気持ちを抑えない夫婦関係なんてない

 夫婦になって、同じ子どもの親になった今でも、やっぱり相手に言いたいことをぐっと抑えることってあります。でも、話し合って分かりあえることもあれば分かりあえないこともあるので、お互いにパーフェクトを求めるというのは難しい話です。

 夫の言うことで理解できないことや、「それはどうなの?」って思うことはもちろんあります。いくら夫婦でも、価値観を全く同じにすることは無理です。人間関係って、常に思ったことをそのまま言えばいいわけではないと思うんです。だからお互いにがまんするというのが、いい関係を築くためには大事なのかなと思います。

 たとえ分かりあえなかったとしても、言えるなら自分の本心を言ったほうがいいとは思います。同じ着地点に行けなかったとしても、「私はこういう人間だよ」と伝えられないと苦しい。だから「分かりあえない二人」であることを分かってくれる相手じゃないとだめだと思います。

 「君と僕が違う意見なのはよくないから、合わせよう」という人じゃなくて、「君と僕はここが違うね」と受け止めてくれる人のほうがたぶん夫婦としてはやりやすいんじゃないかな

取材・文/小田舞子(日経doors編集部)、橋本 岬 取材日/2020年4月15日