ビジネスシーンで今すぐ役立つノウハウをお届けする「日経doorsアカデミー」。「話し方」編の第4回は、魚住りえさんが独自に編み出した「朗読トレーニング」のやり方を伝授してもらいます。

「ロジカル」へのこだわりが生む罠

 こんにちは、アナウンサーで、ボイス・スピーチデザイナーの魚住りえです。連載第2回(話し方は技術 「いい声」鍛えるトレーニング)と第3回(相手の心を動かせない残念な話し方 改善するには)の記事では、相手の心に響く「声」をつくるためのトレーニング方法について話してきました。ポイントは、腹式呼吸と表情筋。毎日のちょっとしたスキマ時間での訓練が、いざというときにモノをいいます。ぜひ習慣化して、続けていってください。

 今回からは、いよいよ「話し方」について取り上げていきます。

 ビジネスシーンでの話し方で大切なことというと、多くの人が「ロジカル(論理的)であること」と考えるのではないでしょうか。要領を得ない説明のしかたをしてしまって、上司に「君は結局、何が言いたいんだ」などと注意されてしまった経験がある人もいるでしょう。

 確かに、論理的に考えることは大切です。「まずは話すテーマを明確にし、あらかじめ『お伝えしたいことは3つあります』などと示しておく」「結論・要点から話した後に、理由や具体例について説明する」――。こんなメソッドを耳にしたことがあると思います。学びを深めたければ、基本的な内容をまとめたビジネス書などを読んでみるのもいいでしょう。

 ただ私は、「ロジカルに話しているだけ」では人の心を動かすことはできないと考えています。例えば、他の人のプレゼンを聞いていて「スラスラと話しているのに、内容がどうも頭に入ってこないな」「理路整然としていたけれど、記憶には残らなかった」などという印象を持ったことはありませんか? それが「ロジカル」にこだわり過ぎることの罠です。

 ビジネスシーンでは「うまく話せた」という自己満足にとどまってしまっては意味がありません。上司や顧客に自分の伝えたいことをしっかりと理解してもらい、説得することが必要です。では、それを可能にする「話し方」を、どうやって身に付ければいいのか? たった1つのことを実践するだけでいいのです。

伝わる話し方を身に付ける、たった一つの方法とは?
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