基本機能はこの5つ

 ビジネスチャットはメールよりも即時性が高く、テレワーク中も含めグループ間の情報共有に適しています。各ビジネスチャット・サービスによって異なりますが、共通しているのは次の5つの基本機能です。

(1)チャット機能

 最も基本であるのがチャットです。直訳すると「おしゃべり」ですが、気軽なメッセージのやり取りという意味です。心理的安全性を確保できれば、グループでの生産性は格段にアップします。余計な気遣いがなくなり、資料作成時間も会議時間も減ることが21社の検証で判明しています。チャットに対する「いいね!」や絵文字を送ることで感情共有ができます。この感情共有によって心理的安全性が生まれやすくなるのです。

(2)グループ(チーム)機能

 組織を越えたグループを柔軟に作ることができるのも特徴の一つです。所属する課・部署・部門・拠点ごとで分けるだけでなく、組織横断的なプロジェクトや、同期入社、管理職など属性・ミッションが共通しているメンバーでグループを作り、情報や意見の交換をすることができます。スレッドが途切れてしまうことも多いメールと比べると、途中から参加した人が過去のやり取りを簡単に追えるので情報伝達が確実で、担当者間の引き継ぎ業務もスムーズに行うことができます。

(3)ファイル共有・編集

 メールよりも大容量のファイルを共有することができるのもビジネスチャットの利点です。メール添付でファイル共有するのは非効率です。最新のバージョンを探すのに時間がかかります。クラウドに置いたファイルを共有すればグループ内の複数のメンバーで共同編集をすることができます。1つのファイルを共同編集していますので、「とりまとめ」の作業がなくなります。

(4)オンライン会議

 音声やビデオを複数人で共有できる機能が付いています。参加者全員と音声、映像、資料を共有して会議を行うことができます。時間と場所に縛られることなく柔軟な環境を整えることが働き方改革の目的の一つです。オンライン会議を使うことから始め、その付属機能としてチャットでもやり取りをするようになったという企業も多くあります。テレワークに必須となったオンライン会議の浸透は、ビジネスチャットの普及に大きく影響を与えています。

(5)タスク管理

 チャットは複数の仕事を同時にかつスピード感を持って回すことができますが、人間の記憶容量には限界があります。そこで、重要な作業を確実に完了させるために、タスク管理が必要です。ただ単に、作業を終えたかどうかを確認するだけではなく、プロジェクト自体の進捗、スケジュール、問題点や課題の管理をする必要があります。たまったタスクに優先順位をつけ、重要なことにより多くの時間を割くように心がければ、より少ない時間でより多くのことができます。

 コミュニケーションツールをメールからチャットに移す場合は、そのタスク管理を連携して使いましょう。「Trello」「Google ToDo」「Microsoft To Do」「Backlog」などのタスク管理サービスは、主要なビジネスチャットサービスと連携ができます。タスクを管理しながら円滑なコミュニケーションを行うことができれば成果は上がります。

求められるのは「チーム力」

 人と仕事をするときに必要なコミュニケーションは「伝えること」ではなく「伝わること」です。いくら伝えた気になっていても、相手に伝わっていないと意味がありません。複雑なビジネス環境で、限られた時間で成果を残すためには自分一人で何とかしようと考えるのではなく、他者を巻き込みチーム力をアップしていかないといけません。それを実現するにはメールではなく、ビジネスチャットが最適です。

文/越川慎司 イメージイラスト/PIXTA