昨年10月、39歳でサイバーエージェントの専務執行役員に就任した石田裕子さん。27歳で女性初の営業局長、30代では子会社の社長を2社経験、そして女性で初めての同社専務執行役員に就任するなど、キャリアの階段を駆け上がってきた。「失敗経験は数知れず」と、振り返る石田さん。今回は、事業撤退も経験し孤独と責任に向き合った子会社社長時代、同じ会社で働くパートナーと良好な関係を維持するコツについて聞いていきます。

(上)サイバーエージェント専務 石田裕子 億単位の損失に学ぶ
(中)27歳で60人のリーダーに 石田裕子 指示待ち部下に模索
(下)石田裕子 孤独と重責の社長経験 同業夫婦・円満のコツ ←今回はここ

意思決定が社運を左右する社長の重責を経験

 30代に入り、サーバーエージェントの子会社で立て続けに2社、社長を経験しました。20代からさまざまな業務に携わり、リーダーとしてそれなりに場数を踏んできたつもりでしたが、自分の意思決定が会社の命運を左右するという、これまで味わったことがない重圧に、責任の重さを改めて実感。これまでにはない「怖さ」を感じました。

サイバーエージェント専務執行役員 石田裕子さん
サイバーエージェント専務執行役員 石田裕子さん

 組織に属していた時は、自分よりも上に誰かが必ずいて、必要な時にはいつでもアドバイスを求めることができましたが、社長になるとそうはいきません。最終的に意思決定をし、責任をとるのは私自身。自分の後ろに常に誰かがいて、いざとなったら助けてくれるわけではありません。そういう現実に直面し、「人に頼ることを考えているようではダメなんだ、自分でやるしかない」と、意識が変わりました。

 同時に、心の底から感じたのは、「社長ってこんなに孤独で寂しいものなんだ……」ということ。弊社の藤田(晋・サイバーエージェント社長)も、あれだけ社員に慕われていますが、本当はものすごく孤独を抱えているんだろうな、と。ほんの少しですが、その思いを理解できたような気がしました。