人気の化粧品売り場を徹底リサーチ

 育休からの復帰当時、オムニチャネル戦略推進部は全員が京都本社のメンバーで、東京勤務は私だけ。お客様一人ひとりと深く、広く、長くつながるためのインフラをつくることを目標に、リアルな店舗のあり方を刷新するためのアイデアが求められていました。

 子育てによる時間制約があり、日常のコミュニケーションはテレワークが中心。そんな私が「今の自分にできることから」と取り組んだのがマーケティング・リポートの作成です。さまざまなブランドの下着売り場を30カ所以上まわって接客してもらい、その他、下着に限らず伸びている業界や売り場の特徴を探りました。大きなヒントを得たのが、百貨店の化粧品売り場です。デジタル技術を活用した肌診断データを活用することで、一人ひとりに合った提案ができ、顧客の心をつかんでいる。インナーウエアでも同じようなことができるのではと思い立ちました。

 人に見られずサイズを測り、下着を選べるAI接客やアバター店員は、育休中に知り合ったママ友の意見も参考にしています。産後の体形で、「キレイな店員さんがいる下着売り場に行くのは抵抗がある」「計測で誰かに体を見られることに抵抗がある」という声を聞いて、共感しました。仕事以外の交友関係が広がる産休・育休期間は、生活者視点に立ち返るいい機会になりました。

「環境の変化が、生活者視点に立ち返るいい機会になった」と篠塚さん
「環境の変化が、生活者視点に立ち返るいい機会になった」と篠塚さん