今年1月にはエン・ジャパン初となる女性事業部長に就任し、これまでに個人、チームとして何度も社内で表彰されてきた石井三香子さん。営業成績最下位からトップ営業を達成した道のりを紹介した前回に続き、下編では、メンバーの持ち味を生かし、チームとして実績を上げるまでのさまざまな壁と失敗から学び成果へとつなげた仕事術について紹介します。

 エン・ジャパン 最年少・女性初事業部長に挑戦した理由
 スキル不足、部下の退職…32歳リーダー失敗からの学び ←今回はここ

トップ営業から管理職転身への壁

 それまで持ち前のコミュニケーション能力を武器に成果を出してきた私でしたが、営業からディレクターとして制作の部署に異動になり、大きな壁にぶつかりました。

 企画や取材に関わる制作の仕事は、論理的な思考でフローを整えるスキルや、ロジカルに伝えるプレゼン力などが求められます。正直、これは私にとって苦手な分野でした。これまでのやり方が通用せず、悪戦苦闘。「自分の力をもっと上げていかないといけない」。そう痛感した出来事がありました。

 あるメンバーが、「チャレンジリーダー制度」で係長に立候補した時のこと。上司の私が彼女の推薦ポイントを部長にプレゼンする機会がありました。本来であれば、エピソードを交えながら彼女の強みや思いなどを分かりやすく表現すべきだったのに、私の能力不足でそれができず、リーダーに引き上げられなかった。メンバーを輝かせるリーダーになりたいと思っていたのに、それができない自分が情けなくて自己嫌悪に陥りました。

 このままでは引き下がれないと思い、プレゼン資料を作り直すことに。具体的な数値を入れながら、彼女がどんなことを考え、これまでどんなことをしてきたか、人となりや背景が分かるようなストーリーを織り込んだ資料へと改善。上司に頼み込み、再度プレゼンしたところ、無事にリーダーに引き上げることができて、ホッとしました。

ディレクター時代の2017年7月、チームメンバーが社長賞を受賞。写真左:エン・ジャパン人財プラットフォーム事業部長 石井三香子さん
ディレクター時代の2017年7月、チームメンバーが社長賞を受賞。写真左:エン・ジャパン人財プラットフォーム事業部長 石井三香子さん