組織での年代別役割の目安

 長い目でキャリアを捉えるために、組織における年代ごとの役割を知っておくといいと臼井さんはアドバイス。キャリアパスも多様化しているとはいえ、壁に直面したとき、自分が今どの役割に進む前のどの地点にいるのかを俯瞰(ふかん)して見ることで、一歩前に進む原動力となり、チームをまとめるヒントにもなりそうです。

年代ごとの役割の目安<20代=成長>・仕事の楽しさや充足感を知る/・失敗体験から学ぶ/・知力や体力、時間に余裕がある<30代=自立>・リーダーとしての自覚や挫折/・ワークライフバランスが変化し、葛藤しやすい時期<40代=責任>・管理者としての責任を持つ/・部下を育てる体験/・人生の充実期と同時にストレスに要注意<50代=貢献>・後進のために経験・知識を与えるメンター/・会社に必要とされる人材になれるかの岐路

 「20代は、失敗を恐れず積極的にチャレンジをすることで成長につながる時期。30代は自分のことに加えてリーダーとしての役割を試行錯誤する一方、ワークライフバランスの変化や葛藤が起こりやすい時期でもあります。40代は責任を引き受ける年代。責任は大変で重いけれど、その分充実感を得られます」

 組織を統率する立場になると、10代・20代の新入社員から定年間近の50代まで、さまざまな価値観のメンバーを束ねなければならない上、時に自らもプレーイングマネジャーとして動くことになります。

 「50代は会社員の集大成としてより重い責任を担うか、キャリアの下山に向かっていくかの分かれ目。今までモーレツに働いてきたのに、いきなり上司と部下の立場が逆転してこれまでのやり方が通用しないことに戸惑っている人も多いんです。その方たちの経験値やプライドを尊重しつつ、メンター的な役割を任せたり、新人に接してもらったり貢献の役割を担ってもらうといいでしょう」

 「年上社員や自分の上司だった人が部下になるケースは、女性に限らず男性にもあります。古い価値観の人ほど年齢や性別を気にしますが、今やリーダーは権力ではなく、チーム全体の成長を担う役割。人にはそれぞれモチベーションの源泉となる『心のエンジン』があり、やる気が出たり、そがれたりする場面に違いがあります。それを押さえながら部下やメンバーの心の動きに意識を向け、みんなが生き生きと働ける環境をサポートすることで信頼関係やメンバーの自主性が育まれ、チームの活性化につながりますよ」