女性社員が9割を超えるサマンサタバサジャパンリミテッドで長年リーダー的役割を担い、後輩たちを育ててきた世永亜実さん。部下はもちろんのこと、その友達まで彼女のファンになってしまうというほど慕われるリーダーになるまでには、自分の苦手やつらかった過去を受け入れて前に少しずつ進んできたキャリアの歩みがあった。「環境の変化が苦手」という世永さんは、昨年会社員を卒業し、2つの企業でパラレルキャリアを実現するために新たな働き方にチャレンジ。新しい環境・人間関係でのリーダーの心得、指針にしている言葉、パラレルキャリアに転向後の気付きを聞いた。

上 サマンサ非常勤役員 世永亜実 ドン底失敗経験が原動力
中 世永亜実 やる気のない部下と尊敬できない上司の対処法
下 熱狂的な2人を見つけ出してチームをつくる 世永亜実 ←今回はここ

新しい職場やチームでも、ありのままの自分で飛び込む

 新人時代の話「サマンサ非常勤役員 世永亜実 ドン底失敗経験が原動力」でも触れましたが、私は引っ込み思案で、環境の変化がとても苦手です。通勤途中にある大きな木がなくなっただけで2カ月くらい不安になってしまうほど、環境の変化に弱いのです。そんな中、コロナの影響でオンライン会議やテレワークとなり、一時はとても不安定な気持ちになりました。

「変化は苦手な気質ですが、新しい環境でマネジメントをする機会が増えました」と世永さん
「変化は苦手な気質ですが、新しい環境でマネジメントをする機会が増えました」と世永さん

 しかし、昨年からパラレルキャリアという働き方になり、サマンサ(サマンサタバサジャパンリミテッドの略)という長年働き慣れた環境から一歩出て、さまざまな新しい人たちや環境に飛び込むことが増えました。もちろんサマンサにいるときにも、いつもとは異なる顔ぶれで仕事をすることもありました。

 そういった新しい職場に入ったり、そこでリーダー的役割をしなくてはいけなかったりしたとき、私が心がけていることは、自分を大きく見せない。ありのままの自分でいくことです。できないものはできない。分からないものは分からない。素直に「教えてください」「ありがとう」とコミュニケーションを取ることこそが、関係を円滑にしてくれると思っています。リーダーでも「初めてなのですみません。よろしくお願いします」っていうのが一番シンプルで、一番簡単だと思いますよ。

 部下になめられる?なんていうことは全く思いません。肩書や立場を気にしたことはないです。コピーを取ればいいのならやるし、机を拭けばいいなら拭く。私は会議などのお茶くみも積極的にします。女性だからするというのではなく、家事は好きだし、一人ひとりの方の個性を知るきっかけになるからです。だからといって女性たちがやるべきだとは全然思いません。

 昨年からオイシックス・ラ・大地にも参画させてもらっており、私は新しい取り組みやアライアンスが生まれたとき、それを形にするという役割を担っています。今はまだ、日々勉強中。自分の役割は何だろうということより、自分に降ってきた案件を必ず形にすることが大事だと思って一つひとつ取り組んでいます。分からないときは「これは誰に聞けばいい?」「これはこうでいいのかな?」「私これはできないけど、できるかな?」と上下関係なく周囲に聞きます。そのうち、誰に何を聞けばいいか分かり、自然と仲間が増えたり、自然と結果が出たり、自然と自分の役割が見えていくものですよね。