「すべての人に役割のある社会をつくりたい」が原動力

 それ以来、ずっと根底にあるのは「すべての人に役割のある社会をつくりたい」という思い。障がい者はもちろん時間に制約のあるワーママや介護を抱えた人、高齢者など、あらゆる人々が多様な働き方を選べる社会をつくる。その信念が私を突き動かす原動力になっています。

 現在、リクルートホールディングスの執行役員と、「ゼクシィ」「カーセンサー」「スタディサプリ」の3事業を主体とするリクルートマーケティングパートナーズの代表を務めています。社長としての仕事は、中長期の戦略策定や社員の人材育成がメイン。来年からリクルートの国内7社が1つの会社に統合するので、それに向け、みんなで頑張っているところです。

 目下の課題は、withコロナの環境にどう対応し、どんなふうにサバイブしていくか。特に、ブライダル業界は非常に厳しい状況です。クライアントの皆さんと一緒にこの状況を乗り切るために議論を重ねながら前に進んでいます。

 入社以来、さまざまな事業に携わってきました。経歴だけをみると順調にキャリアの階段を駆け上がってきたようにみえるかもしれませんが、私自身は全くそんな意識はないんです。30代までは、できない自分に落ち込んではうじうじ悩んでいました。目の前に次々と現れるチャレンジに対して、がむしゃらに取り組んできた結果、今があるというのが正直な感想ですね。

 リクルートの社員は独立志向が強く、途中で起業する人も少なくありません。多くの挫折を経験した私が、同じ会社で長年働き続けてこられた理由は2つあります。

 1つ目は、常にチャレンジし続けられる環境だったこと。1つの会社の中でさまざまな職種や事業を経験し、そのたびに新しい挑戦をしてきたので飽きるということがありませんでした。2つ目の理由として、リクルートの風土があります。それぞれの社員が大事にしているものを互いに尊重しあえる風土が根付いており、それが私にとってすごく心地よかった。刺激的でかつ居心地の良い環境だったからこそ、自分らしく働き続けてこられたのだと思います。