結婚や出産といったライフステージの転換期にこれからどう働いていくべきかを考え、キャリアプランを見直す人は多いでしょう。複数の外資系企業でキャリアを築いた後、結婚・出産を機に働き方を変える決意をした小沢知子さん(39歳)もその一人。子どもが手を離れた後も続いていくキャリアを見据えて、「今は限られた時間の中で、最大限の生産性を発揮したい」と話す小沢さんに、ママになってもハイキャリアを続ける秘訣について聞きました。
結婚を機に、仕事のペースについて考えた
大学を卒業後、得意の英語を生かしたいと外資系銀行に就職した小沢さん。リテール営業を担当しましたが4年ほどで辞め、米国で1年間インターンシップを経験した後に帰国、最初の転職をしました。終身雇用や年功序列を前提に、社内で人材を育成するメンバーシップ型の日本企業に対して、専門性を評価して採用するジョブ型の外資系企業では、キャリアアップのために転職するのは当然のこと。小沢さんも、ごく自然に転職を決意しました。
「このときは、先に転職していた同期の紹介で、外資系・日系問わず金融転職に強いエージェントを利用しました。複数いただいた内定から外資系ヘッジファンドの資産運用会社を選んだのは、英語が使える点と、資産運用全般の経験を積みたいと思ったから」
小沢さんの企業選びの基準は、「この会社なら、苦労はしても成長できそうだ」と感じられるかどうか。ヘッジファンドは資産運用会社などからの転職が一般的で、小沢さんのような経歴は珍しかったのですが、あえて大変な環境を選んだという自負もあって、やりがいを持って働いていたといいます。リーマンショック前だったこともあり、仕事はかなり忙しく不規則な生活でしたが年俸は大幅にアップし、成果に対して正当な評価が得られる環境にも満足していた小沢さんに転機が訪れたのは、結婚が決まった31歳のとき。
「いずれ子どもが生まれて、育児と仕事を両立する日が来たら、このままの働き方では苦しくなりそうでした。ハイスペックなところで自分のキャリアや能力、可能性を評価してもらえるのはうれしいことですが、これからの生活を考えたら働き方のペースを落とすべきだと思いました」