「好きなことを仕事にしたい」。誰でも一度は考えたことがあるそんな思いを、転職と起業を経てついに実現した藤田久美子さん(37歳)。キャリアの入り口で感じた、「自分が本当にやりたいことって何だろう?」という疑問をきっかけに仕事の幅を広げ、志を同じくする仲間との出会いを引き寄せていきました。

 藤田さんのステップアップを支えたのは、「自分の心に素直に動く。ここだ!と思ったら踏み出す」というシンプルな転職アクション。それは、野菜をはじめとする「食」についての情報発信など、新たなサービスの企画・運営を担う現職でも、藤田さんの行動の軸となっています。

藤田久美子さん 昭和女子大学文学部日本文学科を卒業後、教師だった両親の影響を受けて小学校教諭に。1年の臨時採用期間中に「本当にやりたいことは何か」を考えるようになり、教職を辞して職を転々とする。恋人の体調管理を目的に野菜ソムリエの資格を取り、食の道を選択。スキルを持つ仲間たちが正当に評価される仕組みをつくりたいと、起業を経てヴァカボに入社
藤田久美子さん 昭和女子大学文学部日本文学科を卒業後、教師だった両親の影響を受けて小学校教諭に。1年の臨時採用期間中に「本当にやりたいことは何か」を考えるようになり、教職を辞して職を転々とする。恋人の体調管理を目的に野菜ソムリエの資格を取り、食の道を選択。スキルを持つ仲間たちが正当に評価される仕組みをつくりたいと、起業を経てヴァカボに入社
資格を取得して生かすために取った転職アクション
キャリアの初期に「やりたいことは何だろう」と模索した藤田さんが資格を取得し、その資格を生かすために取った転職アクションとは?

両親の影響で先生に でも自分が決めた道に行きたい

 食への感度が高い「食のオタク」たちが集うコミュニティー「365(サンロクゴ)マーケット」を展開し、食に関する情報発信や、野菜販売の仕事の依頼・あっせんなどを通して農業をはじめとした1次産業の活性化を目指すヴァカボ。藤田さんは、同社で食の情報を発信するWebメディアの編集長としてコンテンツ作りをけん引する傍ら、企業向けに産地直送野菜の販売と食育セミナーのイベントプランを担当するなど、めざましい活躍を見せています。

 藤田さんのキャリアの出発点は、教師だった両親の影響を多分に受けて選択したという小学校教諭でした。大学卒業後、出身地である茨城県で小学校の臨時採用に合格。国語の先生として、社会人として最初の一歩を踏み出しました。

 「子どもは好きだったし、教える仕事にもやりがいを感じていました。でも、心から熱中するところまではいっていなかった気がします。たぶん、『両親が決めた道だ』という気持ちがどこかにあったから。日に日に、自分の道は自分で見つけたいという思いが強くなっていきました。就職してみて初めて、親への反発心が芽生えたのかもしれません」

 心に芽生えた「本当にやりたいことって何だろう?」という疑問。藤田さんは、教師をしながらその疑問への答えを探すよりも、自ら体験して答えを得ることを選びます

 1年の契約期間を勤め上げて、小学校教諭からフリーランスの営業代行業へ。SNSを利用した人材紹介業をスタートさせました。しかし3年後、事業は家庭の事情でやむなく整理することに。そこからは、飲食店アルバイトや建設会社の営業など、さまざまな職業を転々としました。今後必要になるかもしれないと思い、宅地建物取引士やカラーコーディネーター2級などの資格も取得しました。