どこで働くか、誰と過ごすか、どんな人生を歩むのか――。選択肢を自由に選べる時代だからこそ、時に悩んで立ち止まってしまうことも。本連載では、ミレニアル世代の起業家・中山紗彩さんが、同世代の女性たちが抱えるさまざまな悩みに答えます。今回のテーマは、「教育」事業に注ぐ思い。紗彩さんが本音で語ります。

Q:中山さんはなぜ、教育事業に興味を持たれたのでしょう? また、今注目している分野や、今後立ち上げたいサービスはありますか?(20代後半、正社員、製造業、研究開発・SE・技術職)

パーソナル・グロース(個人的な成長)に注力

紗彩 SHE(中山さんが創業・経営している会社)が提供しているサービスは私なりの定義で言うと、「パーソナル・グロース(個の成長)」という新興市場に対応したサービスなんです。「教育」という既存の市場定義とは少し異なると考えています。「何かを教え育てる」というより、「ひとりひとりの可能性を見つけ、引き出す」というアプローチを大切にしています。個人的にも日本の「教育」という概念には昔から疑問を持っていて。

 今の日本の教育は、指導者から生徒へ一方的に教える授業が一般的ですよね。でも、「1人対大人数」という構図下で、全体最適化せざるを得ないシステムで提供される教育が必ずしも正しいとは思いません。また、指導者が一方的に教えるのではなく、指導者と生徒がフラットにコミュニケーションをとって一人ひとりと共創できる仕組みづくりが理想だと思っています。

 だからSHEでは、「ひとりひとりが自分にしかない価値を発揮し、熱狂して生きる世の中をつくる」というビジョンをもとに、コミュニケーションを重視したカリキュラムを用意しています。

――doors編集部(以下、――) 日本の教育に違和感を持ち始めたのは、いつごろからですか?

紗彩 小学校に入学したときからずっと持っています。すごいませた子どもと言われますが、極めて強く感じたことを原体験として持っています。

 私の通っていた小学校はポニーテールが禁止されていたのですが、そのことについて、先生に「なぜですか?」と質問しても、「ルールだから」「決まっていることだから」と返されて終わり。

 「なんで? どうして?」と疑問に思う気持ちには答えてもらえず、納得できませんでした。そのとき、ルールや固定概念が正しいものだと思考停止して思い込むことはせずに、いろいろな常識を疑い、自分なりに「なぜだろう」と全てに問いかけをし、そして疑問に思ったことはきちんと自分にも周りにも向き合い続けられる人間になりたいと思ったんです。

――自分の中に抱えている違和感を仕事にしようと具体的に思ったきっかけはありますか?