どこで働くか、誰と過ごすか、どんな人生を歩むのか――。選択肢を自由に選べる時代だからこそ、時に悩んで立ち止まってしまうことも。本連載では、ミレニアル世代の起業家・中山紗彩さんが、同世代の女性たちが抱えるさまざまな悩みに答えます。この連載もこれが最終回です。最終回のテーマは、「起業の心得」。紗彩さんが本音で語ります。

Q:将来、起業したいと思っていますが、勇気がなくて一歩が踏み出せません。起業はどういう人が向いていると思いますか?(20~24歳、正社員)

起業に年齢は関係ない。「まだ準備ができてないから…」というのは言い訳かも

紗彩 まず、起業をするのに「早過ぎる」ということはない気がします(キッパリ)! 極論を言うと、私は誰もが起業したほうがいいとさえ考えています。なぜなら、人の価値が最大発揮される仕事環境要件の一つに「心から共感できるビジョン」が据えられていることがあり、その「心から共感できるビジョン」は一人ひとり異なると思うからです。だから一人ひとりがそれぞれのそれを掲げて仕事をしたほうがいいと思っていて。

 そして、それをするためには、自分の会社を立ち上げるのが得策かなと思っています。

――doors編集部(以下、――) とはいえ、学生や社会人になったばかりで起業の準備ができていない人も多くいます。

紗彩 確かにそういう悩みはよく聞きます。でも、起業タイミングに年齢は関係ないと思っています。

 起業するとなるといろいろと不安になり、「あれも準備しないといけないのでは?」「これもやっておかないといけないのでは?」と考えてしまう気持ちは分かります。しかし、起業に必須なスキルを学ぶことや、起業準備として絶対に経験しておくことよりも、実際に起業をしながらそれらを磨いていくほうが早いという話は起業家たちの間でよく話題に上がる話です。

 仮に今すぐ会社をつくらなくても、例えば、SNSで自分の思想を発信して考えの合う仲間を集めたり、無料でイベントを開催してクライアントさんにアプローチしたりすることはできますよね。だから、「起業したいけど、まだ早いのでは?」と思い立ち止まってしまうのは自分の過去の経験的にも、言い訳であることが多いです(笑)。他に本当の理由があると思うので、ぜひ心の本音を聞いてみてください。

――まずは行動するところから始めるのが大事なのですね。

紗彩 そうですね。そして行動することに加えて、起業家の仲間を見つけることが大切だと思っています。確かに、起業を成功させることはとても難易度が高いです。起業は、終始「ハードシングス(難題や困難)」に見舞われるものです。でもだからこそ、起業家の仲間たちとは結束力が高まるのだと思っています。同じ苦しみや同じ葛藤を抱えながらも、それぞれの人生を懸けて成し遂げたいことのために頑張る仲間をつくり、挑戦しているのは決して自分一人ではないと思って、一歩踏み出してみてください。

――起業も含め、仕事の悩みはどのような人に相談したらいいと思いますか?

紗彩 できるだけ多くの共通言語のある人と、ポジショントークを抜いたフラットなディスカッションすることが大切だと思います。友人でも恋人でもいいと思いますが、臆することなく自分の思想を話せる相手と議論できるのが理想。どのような問いの設定をしてもポンポン持論を返してくれる人とのそれはたくさんの気づきを与えてくれるので、私はそういう人と話をする中で自分の悩みを解消するようにしています。