フィンランドのいいところ、将来の夢は?
堂原 ロッタさんは、今の生活に満足されているのですね。
ロッタ はい。「満足」は幸福に直結すると思います。私は今の自分の仕事に満足していますし、パートナーにももちろん、お互い満足しています。
堂原 フィンランドやフィンランド人のいい部分って何だと思いますか?
ロッタ 私はフィンランドや北欧デザインが好きです。マリメッコやアラビアなど、とても有名なブランドがありますよね。また、フィンランド人は、正直でシステマチック。我々特有の精神性を表す独自の表現で「sisu」という言葉があります。これは、フィンランド人の我慢強さを表す言葉。辛抱、回復力、粘り強さ、決心、忍耐力のような意味を持ちます。
堂原 最後に、将来の夢は何ですか?
ロッタ 開発や戦略におけるキャリアを積み、学び続け、さらに責任ある仕事をしていきたいです。プライベート面では、子どもが欲しいですね。フィンランドでは育児と仕事を両立しやすい国で、父親も母親も育児休業を取ることができるんですよ。
堂原 日本の20~30代の女性たちに向けて、何か一言ありますか?
ロッタ 私は夢のために働き続けようという皆さんを応援したいです。夢は突然かなうものではなく、それに向かう小さなステップの積み重ねがあって、かなうものだと思っていますから。
幸福国だからといって、みんなが常に幸せなわけではなく、厳しい環境や問題もある。人によって、幸せへの考え方や度合いも異なる。では、何をもって幸福国なのか。それは「幸せを感じとることのできる要素が、他国に比べて多いからではないか」とロッタさんは教えてくれた。
今回のインタビューでは、「権利」、「家族」、「自然」という言葉がたくさん出てきた。これまでも多くの人と話してきたが、やはりこれらは幸福の最重要事項なのだと改めて感じる。
そんな言葉が多用されるフィンランド。「やはりどの国も、北欧から社会の仕組みを学ぶべきではないか」と言いたくなるが、それぞれの国の歴史や政治の複雑さを知らずして、誰しもに同じことを言うのは乱暴すぎる。
ただ、それでもやはり「人権を守る」ことへのトップカントリーだと考えると、向かうべき道の一つなのではないか、とも思うのだった。
文・写真/堂原有美 構成/浜田寛子(日経doors編集部)