「酔いどれダイアリー」、最終回は日本酒の魅力に迫ります。産地も種類も豊富にありすぎ過ぎて、いったいどれを飲んだらいいのか分からない……なんて人もいるのでは? 今回は、漫才師で日本酒きき酒師の、その名も「にほんしゅ」のお二人に話を聞きました。

本醸造、純米、吟醸…違いはいったい何?

 近ごろは、日本各地の日本酒を置く居酒屋さんも増えました。いざ頼もうとしたとき、メニュー表の本醸造、純米、吟醸……と書かれた文字に、いったいどれを選べばいいの? なんて迷う人も多いのではないでしょうか。私もその一人です。

 そこで、日本酒きき酒師であり、漫才師の「にほんしゅ」の、あさやんさんと北井一彰さんに詳しく話を聞きました。

日本酒きき酒師漫才師「にほんしゅ」。左があさやんさん、右が北井一彰さん
日本酒きき酒師漫才師「にほんしゅ」。左があさやんさん、右が北井一彰さん

 日本全国津々浦々、日本酒の銘柄はたくさんあるけれど、なかなかハードルが高いと思わせてしまう理由の1つは、日本酒にまつわる用語の多様さ、難しさかもしれません。まずは日本酒の基本、「本醸造」「純米」「吟醸」とはいったい何なのか、聞きました。

 「これは法律的なくくりで、日本酒のオフィシャルな区分けです」と北井さん。大きく分けると「純米」「本醸造」「吟醸」の3つ。

1.純米酒の原料は、『米』と『米こうじ』だけ

 まず基本は純米酒で考えてみます。使用原料はシンプルに「米」と「米こうじ」だけ。

 「すっきりとした純米酒は、常温で飲んでもおいしく食事中にお薦めの日本酒です」(あさやんさん)

 「『特別』と付いているものは、米と米こうじのみ使用という原材料のルールはそのままに、使用する酒米をより高品質なものにしたり、製法や米をさらに削ったものにしたりと、イメージとしては純米酒をよりグレードアップしたもの」(北井さん)

2.本醸造は、『米』『米こうじ』+『醸造アルコール』=後味ドライ

 本醸造は、原料の『米』と『米こうじ』に、発酵の最後の段階(お酒を搾る直前)で「醸造アルコール(甲類焼酎と同じ製法で作られた蒸留酒)」を加えます。

 「この『醸造アルコール』が後味をすっきりとドライに仕上げます。これを『辛口』と表現する人もいますね。本醸造は冷酒で飲むとおいしいものが多いです」(北井さん)

3.吟醸酒は、『米』『米こうじ』+『醸造アルコール』+『吟醸造り』=香り良く上品

 吟醸酒の原料も、本醸造と同じく『米』と『米こうじ』と『醸造アルコール』。こちらも本醸造と同様、搾る直前に『醸造アルコール』を入れます。

 「本醸造との違いは、吟醸酒は米をさらに削ったり、発酵期間を純米や本醸造より低い温度で長めにしたりして、より香りを立たせていること。これを吟醸造りといいます。フルーティーな香りで、上品かつ繊細な味わいが特徴です。仕込みをより丁寧に、より長い時間をかけて造ったものが吟醸酒ですね」(あさやんさん)

4.さらに 純米吟醸酒は『純米酒』を『吟醸造り』したもの

 大きな区分は「純米」「本醸造」「吟醸」の3つですが、さらにもう1つ「純米吟醸酒」も覚えておきましょう。

 「『純米吟醸酒』は、使用材料は純米酒と同じ、『米』と『米こうじ』だけ。純米酒で使用する米よりもさらに削ったり、低温度で長めに発酵したりと吟醸造りをした日本酒です」(北井さん)