居酒屋さんで、「とりあえず生ビール!」と言っていた時代から、今や「とりあえずレモンサワーください!」がトレンドの時代。古くから親しまれてきた飲み物ではあるけれど、近ごろはSNS映えするオリジナルのレモンサワーを出すお店が続出し、全国各地でイベントも開催されています。今回は、今改めて人気の「レモンサワー」、略して「レサワ」に注目。おいしいだけじゃない魅力の秘密を探ってみました。

チューハイとサワーって同じもの?

 ところで皆さん、「チューハイ」と「サワー」には、どんな違いがあると思いますか?

 昔から愛されている元祖系のレモンサワーだけでなく、趣向を凝らした進化系も次々登場するなど、まだまだ勢いが止まらないレモンサワー。コカ・コーラが2018年5月から九州限定で先行発売しているレモンサワー「檸檬(れもん)堂」が、この秋から全国販売の準備を進めるほか、次なるブームとして「お茶」に着目したサワーが話題になるなど、「チューハイ」「サワー」から、まだまだ目が離せません。

 「チューハイ」と「サワー」の違いを探るべく、宝ホールディングス環境広報部 専任課長の奈良有里代さんに話を伺いました。

 「結論から言ってしまうと、チューハイもサワーも基本的には同じものチューハイはその名の通り、焼酎を炭酸飲料で割ったものです。チューハイのほうが少し歴史が古く、戦後(1950年代)に東京の下町で今のチューハイの起源となるものが誕生したと言われています」(奈良さん)

 当時、ウイスキーに憧れはあるけれど高くて手が出せなかった人たちは、安く手に入る焼酎を炭酸で割り、レモンスライスを浮かべたものを『焼酎ハイボール』と呼んで楽しんでいたんだとか。ウイスキーの色に似せて梅のシロップなどを少し加え、ほんのり琥珀(こはく)色にしていたんだそう。

 「1965年頃には、レモンサワーが誕生します。諸説ある中で有力なものは、東京・中目黒のもつ焼き屋さんが『さわやかな飲み物=サワー』として出した、甲類焼酎の炭酸割りにレモンを入れたものが最初と言われています」

そもそも焼酎って何?

 ここで、「焼酎」について簡単に説明をしておきましょう。

 「焼酎の原料は、サトウキビや米、芋、麦、トウモロコシといった穀物です。それらを発酵させ、さらに蒸留すると焼酎になります」

 この蒸留の工程で、連続式蒸留機で蒸留した(蒸留の回数が多い)ものを「甲類焼酎」、単式蒸留機で蒸留した(蒸留の回数が少ない)ものを「乙類焼酎(本格焼酎)」と分類されます。

 「原材料の風味を生かした『乙類焼酎(本格焼酎)』は、そのままストレートやロックで飲むのがお勧め。チューハイやサワーには、クセのない『甲類焼酎』を使用しています」

 現在は、「チューハイ」も「サワー」も、焼酎に限らず「蒸留酒」を炭酸で割ったもの、として広まっています。コンビニエンスストアなどで缶入りのチューハイを買ったとき、原材料に「スピリッツ」と書かれているのを目にしたことがあるのではないでしょうか。

 「アルコール度数の高い『蒸留酒の総称』をスピリッツと言います。焼酎のほか、泡盛、ウオッカ、ジン、ウイスキーも蒸留酒。ちなみに、ウオッカ、ジン、テキーラ、ラムが世界4大スピリッツと呼ばれています。日本の酒税法では、焼酎、ウイスキー、ブランデー、原料用アルコール以外の蒸留酒はスピリッツに分類されています」

<酔いどれメモ>
蒸留酒が糖質オフなわけ
 最近の糖質オフブームの流れから、焼酎を好んで飲む、という人も多いはず。でもなぜ焼酎は糖質オフなの?

 「焼酎を製造する過程で出てくる『蒸留』という言葉。フラスコを使った理科の実験をイメージすると分かりやすいのではないでしょうか。蒸留させることで、蒸発する成分が集まりアルコール度数が高くなり、逆に糖分など蒸発しない成分は取り除かれます。焼酎をはじめとした蒸留酒が糖質オフなのは、そのためです」

 続いて、レモンサワーに欠かせない「レモン」についてご紹介。レモンの栄養成分は「ビタミンC」だけではありません。