ジンのおいしい飲み方は

 最後に、家飲みするときの「おいしい飲み方」を聞きました。ぜひこだわってほしいもの、それは……?

「ジン&トニックは苦み、酸味、甘みがパーフェクトバランスと言われているカクテル。苦みがあることによって、ただ甘いだけではなくすっきりとした切れのある味わいになります」(三浦さん)
「ジン&トニックは苦み、酸味、甘みがパーフェクトバランスと言われているカクテル。苦みがあることによって、ただ甘いだけではなくすっきりとした切れのある味わいになります」(三浦さん)

 「トニックウオーターには絶対にこだわってほしいですね。ジン&トニックの3分の2は、トニックウオーターでできているわけですから。香料を使っているものよりも、天然素材を使っているトニックウオーターを試してみてほしいですね」

 ジンは度数が高いので、まずは氷を入れてジンそのものを味わってみる。そこにトニックウオーターを、味を見ながら入れてみるといいんだそう。そして、トニックウオーターの苦みも実は重要、と三浦さんは言います。

「トニックウオーターの苦みは、キナの樹皮にふくまれる成分である『キニーネ』によるもの。当時、インドに駐在していた英国東インド会社の社員たちがマラリアの予防薬として飲んでいたものが原形と言われています。

 しかしキナ樹皮の抽出物は苦すぎて飲めず、砂糖とレモンを入れ、さらにソーダを入れて飲みやすくしたものがトニックウオーターの始まり。さらに英国では、ジンに入れて飲んだらおいしかったことから大人気に。バーで作られたのが最初ではないんです」

 天然の素材を使ったトニックウオーターはまだまだ手に入りにくいけれど、今はインターネットで何種類かは購入できる時代に。「天然素材を使っているクラフトジンには、できれば天然素材を使ったトニックウオーターで飲んでみてもらいたい。驚くほどクリアに、おいしく味わえると思いますよ」


 つい5年ほど前は、日本では40、50種類ほどしか入手できなかったというジン。それが今、三浦さんが手掛けるジンフェスティバルでは、出展しているだけで200銘柄以上にもなるんだそう。素材そのものがシンプルに、かつダイレクトに伝わってくるクラフトジンは、知れば知るほど面白く、これからますます目が離せない。あなたも自分だけのお気に入りを、見つけてみてくださいね。

 「酔いどれダイアリー」第4回は「クラフトジン」をご紹介しました。次回のお酒もお楽しみに。

取材/文 尾崎悠子(日経doors編集部) 写真/清水知恵子