誰にでも、できないことがあって当たり前。そう分かっていても、なかなか結果を出せずに落ち込んでしまうことってありますよね。「ダメな自分」を否定することなく受け入れた上で、なりたい自分へと前進していくにはどうすればいいのでしょうか? 行動心理コンサルタント・鶴田豊和さんの連載第2回、キーワードは「他力」です。

もう自力に頼るのは諦めよう

 今回はたまたま失敗しただけ。もっと頑張れば、注意すれば、次はきっとできるはず――。そう自分を信じた結果、同じ失敗を何度も繰り返してしまった経験はありませんか? 実は私もその一人。「忘れ物が多い」「メールには必要なデータをしょっちゅう添付し忘れる」「好きな読書に熱中すると、きまって電車を降り過ごす」など、数々の失敗を重ねてきました。

 そのたびに「なぜ、できないんだ」「どうして注意深くなれないのか」と、自分を責めました。今度こそ「もっと強い意志を持たなければならない」と。

 ところが、そんな状態に陥ると、人は「何としても自分で解決しなければ」という発想になっていきます。結果として、会社では上司や同僚に相談しないまま仕事を抱え込んでパンクする。プライベートでは、将来のために取り組みたいと思っていることを、延々と後回しにし続けてしまう。そう、意志の力は私たちが想像する以上に弱いのです。

「意志の力」の量を意識しよう

 さらにいえば、1日に使える「意志の力」の量は決まっています。例えば、私のようなそそっかしい人間がどうにかして「注意深く」なろうとすれば、そのぶん意志の力を大量に消費します。また、多くの人は日中の仕事でその力を使い果たしてしまい、帰宅後に改めて別のことをやろうとしても心がついていきません。つまり、自力で成し遂げなければならないという制約を自分に課した時点で、目標を達成する可能性は下がってしまっているのです。