さまざまなパートナーシップのあり方を取材する本連載、第3回は起業家同士の夫婦、福田恵里さんと木村憲仁さんです。目の前の仕事に力を注がなければならない時期は、ときに「結婚」や「家族を持つこと」を重荷に感じることも。でも二人は、結婚したことは仕事面にもポジティブな影響を与えている、と語ります。起業家ならではのビジネス思考も取り入れた、そのコミュニケーション術とは?

福田恵里(ふくだ えり)さん・29歳
リクルートを経て、ミレニアル世代女性向けのマーケティングやメディア事業を展開するSHEを2017年に設立。20~30代の女性がクリエイティブスキルなどを学べるキャリア&ライフコーチングスクール「SHElikes」などを手掛ける。結婚してよかったのは「世界中の誰に嫌われても、この人だけは最後まで味方してくれると確信できる存在ができた」こと。

木村憲仁さん(きむら のりひと)さん・29歳
新卒で入社したリクルートで4年間働いた後、ビジネス・キャリア・人間関係などあらゆる悩みを抱える人に、専門のトレーニングを受けたプロコーチを紹介するパーソナル・コーチングサービス「mento(メント)」を展開するウゴクを設立。会社員時代からプロジェクトの進行管理は得意で、結婚式の準備でもその手腕を発揮した。

結婚は重荷? 憲仁さんが感じた不安

 同じ職場の先輩・後輩という立場から、恋愛関係へと発展していった二人。当時、既に部署のエースとして活躍していた憲仁さんに、恵里さんはよく仕事の相談に乗ってもらっていたといいます。

 食事などを重ねるうち、付き合うことに。「二人で話すようになってから、家族思いの人柄も知ってもっと魅力を感じるようになりました。それに、価値観がすごく合うことにも驚きました。思ったことを素直に話して、こんなに共感し合える人は他にいなかったので、早い段階で結婚の選択肢を考えていました」と、恵里さんは振り返ります。

 付き合って1年ほどで、結婚の話が具体化。ただ憲仁さんは当初、結婚にそこまで前向きではなかったといいます。

 「今振り返ると、結婚はキャリアにおいて重荷になるという価値観に縛られていましたね。20代のうちに起業したいと思っていたので、早い段階での結婚がチャレンジすることの足かせになるんじゃないかと漠然と感じてしまいました」(憲仁さん)

 一方、恵里さんは、互いにチャレンジ志向の二人だからこそ結婚することにメリットがあると感じていました。

 「それぞれが、相手の仕事に対する熱意やスキルの高さは十分知っていたので、サポートし合えると思いました。仮にどちらか一人の事業がうまくいかない時期も、共働きなら収入の柱がもう一つあるから、安心して頑張れる。夫婦というチームだからこそ補い合いながら『攻め』の選択ができるのだと、私の考えをまっすぐに伝えました」(恵里さん)

 これを受けて、「冷静に考えれば恵里のような人が、いわゆる『嫁ブロック』するはずがないし、むしろ後押ししてくれるはず。結婚しない理由はないと思って、プロポーズしました」と考え直したという憲仁さん。

「パートナーの存在は、仕事に集中したり、チャレンジングな一歩を踏み出したりする上で、大切な『基盤』になっています」(憲仁さん)

 とても仲の良い二人ですが、家庭の「経営」は一筋縄ではいかず、夫婦げんかが起きることも。次ページからは、起業家夫婦ならではのその解決法をお伝えします。

共働き夫婦の間でよく勃発する、こんなやり取り。二人は起業家ならではの思考法で打開したそうです。2ページ目以降で、そのノウハウをお伝えします!