さまざまなパートナーシップのあり方を取材する本連載、第4回はともにサイボウズに勤めるあつたゆかさん、まさとさん夫妻です。本業と並行して、パートナーとの絆を深めるサービスを提供する企業「すきだよ」を立ち上げたゆかさん。関係構築のノウハウをシェアし合うコミュニティーなどを運営していますが、そこで得たことは、二人の関係にどう生かされているのでしょうか?

あつた ゆかさん・26歳
新卒でサイボウズに入社し、マーケティング職として勤務。2018年11月にパートナーを大切にしたい人同士のコミュニティー「スキ活サロン」の運営を開始し、愛をオープンに語る「のろけBAR」などの事業を行う。19年9月、結婚前にパートナーと価値観を確認できるサービス「ふたり会議」をリリース。株式会社すきだよを設立。趣味は夫。

まさとさん・30歳
サイボウズでシステムエンジニアとして働いている。ゆかさんとは、新入社員研修で担当チューターを務めたことがきっかけで出会った。多くのカップルにとって初めの関門となる結婚式準備では、高いITリテラシーを生かしてご祝儀、招待状のオンライン化も実現。

ゆかさんが結婚したくなかった理由

 「結婚したくないし、むしろ結婚できないだろうし、彼氏と同棲するのだってすごく怖い。そんな気持ちがかつてはとても大きかったんです」。結婚生活についてのポジティブなメッセージを世の中に広げる活動に力を入れているゆかさんですが、取材冒頭、その口から飛び出したのは意外な言葉でした。

 「彼とは同じ会社に勤めていて、彼の自宅の方が通勤に便利なので、自然な流れで同棲が始まりました。でも、私はすごく大ざっぱな性格で。幼い頃から自分の家族には『大ざっぱ過ぎるから、結婚相手には絶対嫌われる!』ってからかわれていたんです。だから、いつしか本気で『私は結婚、向いてないんだろうな』と感じるようになっていて……」(ゆかさん)

 ゆかさんは20代。親世代に比べれば、性別による役割分担意識も薄れつつありますが、「家事をしっかりやれるのが良い妻」という世の中の視線には依然として根強いものがあります。同棲生活の中で、家事が得意ではないことがまさとさんに伝わってしまったとき、ゆかさんは「これで終わった」とまで思いつめたそうです。そんなとき、暗い気持ちを晴らしてくれたのがまさとさんの一言でした。

 「本人はコンプレックスに感じているとしても、僕自身は『家事をしてくれること』が理由で彼女と暮らそうと思ったわけじゃない。大ざっぱであることは、難しく考え過ぎずに気持ちに素直に行動できる彼女の大胆さにもつながっています。僕はそこが好きだし、尊敬しているから否定する必要はない、とはっきり伝えました」(まさとさん)

 「結婚するとして、子どもにスマートフォンを持たせるのはいつ頃からにする?」「住むなら賃貸と持ち家、どちらがいい?」……付き合い始めた当初から、何気ない雑談の中でかなり具体的なことまで話し合っていたという二人。互いの価値観を認め合い、足りないところを補い合える関係性に確信が持てるにつれて、ゆかさんの「妻になることへの不安」も払しょくされていったといいます。

 2018年6月に晴れて入籍。2ページ目以降から、二人がどんなパートナーシップを築いているのか、聞いていきます!

「彼の料理、本当においしいんです。すっかり胃袋をつかまれました」(ゆかさん)
「彼の料理、本当においしいんです。すっかり胃袋をつかまれました」(ゆかさん)