企業内の若手チームに注目し、取材する新連載。第6回で取り上げるのは、内装大手・乃村工芸社(東京・港)内に2016年9月に開設された部署「NOMLAB(ノムラボ)」。ノムラボのメンバー、林みのりさん(32歳)、吉武聡一さん(25歳)と、マネジャー田中摂さん(38歳)に聞いた。

デジタル技術を活用し、新しい集客創造を目指すラボ

 乃村工芸社は明治25年に芝居の大道具や装置作りで創業し、現在は高級ホテルや専門店、飲食店、企業PR施設などの内装を手掛け、ディスプレー業界でシェアナンバーワンを誇る。今回は同社の部署「ノムラボ」に注目する。

ノムラボのメンバー写真。左から4人目がノムラボ・マネージャーの田中摂さん。右から3人目がコンテンツディレクターの林みのりさん。林さんの前にしゃがんでいるのが、デジタルクリエイティブプランナーの吉武聡一さん
ノムラボのメンバー写真。左から4人目がノムラボ・マネージャーの田中摂さん。右から3人目がコンテンツディレクターの林みのりさん。林さんの前にしゃがんでいるのが、デジタルクリエイティブプランナーの吉武聡一さん

 ノムラボの正式表記は「NOMLAB」で、「Nomura Open Innovation Lab」の略。部署の特徴を一言で説明すると、「『デジタルイノベーション×場づくり』をテーマに、新しい空間体験の拡張を目指すラボ」だ。

 ノムラボが設立されたきっかけは現場の声だった。デジタル技術を空間演出に活用する案件が増加したことを受け、中堅プランナーたちの間で「デジタル案件を専門的に手掛ける部署が必要」という声が上がり始めた。そこで、当時のプランニング戦略部(事業におけるプランナーの育成や業務内容の戦略を考える部署)の中堅プランナーが社員100人を対象にアンケートを実施。その結果を基に、社員約20人に聞き取りを行い、必要な策を検討した。

 その後、社長からの通達を受けた30~50代男性社員、約10人をメンバーとするチーム「デジタルコミュニケーション戦略委員会(デジタル領域を緊急育成商品とし、研究成果を即販促につなげるための戦略検討委員会)」が立ち上がる。2016年度に20~50代の男女社員約20人に増員。これを母体とし、2016年9月に期中にもかかわらず、ノムラボという部署が設立された。

 初期メンバーは、兼務でノムラボの運営サポートを担う田中摂さんをはじめとした4人。

 ノムラボ設立の背景にあった「3つの必要性」を改めて整理すると、次のようになる。