企業内の若手チームに注目し、取材する新連載。第7回で取り上げるのは、連載初、複数の企業が連携して活動している「横濱OneMM(通称、おねむ)」。メンバーの田中悠太さん(36歳)、川崎万莉さん(33歳)、土井健さん(27歳)に活動内容とチームの魅力を聞いた。(※取材は2020年3月5日に実施)

横浜みなとみらい地域つながりで集まろう

横浜市にて。左から、日揮ホールディングスに勤務する田中悠太さん、野村総合研究所(以後、NRI)に勤務する川﨑万莉さんと土井健さん
横浜市にて。左から、日揮ホールディングスに勤務する田中悠太さん、野村総合研究所(以後、NRI)に勤務する川﨑万莉さんと土井健さん

 取材当日、横浜駅近くの貸し会議室の1室に1人ずつ、メンバーが集まってきた。自然と談笑が始まり、会議室の空気が一気に和んでいく。今回お話を聞いたのは、日揮ホールディングスに務める田中悠太さん、野村総合研究所(以後、NRI)勤務の川崎万莉さん、同じく土井健さん。任意団体「横濱OneMM(通称、おねむ)」のメンバーだ。

 団体名「OneMM」は「Oneみなとみらい」からきており、横浜みなとみらいで活動していることによる。横浜市によれば、みなとみらい21地区における就業者は2019年12月時点で前年同月比5000人増の約11万2000人、事業所数は約1820社で過去最高となった。

 横濱OneMMが活動を始めたのは、2019年4月。大企業の若手・中堅社員を中心とした企業内有志団体が集う実践コミュニティ「ONE JAPAN」が月1回開催する代表者会議で、日揮とNRI内にある有志団体の代表者が出会い、「みなとみらいつながりで集まろう」というアイデアが誕生。その月のうちに、飲み屋街として有名な野毛エリアで両社で交流会、 5月には富士ゼロックス・横浜拠点にある「共創スペース」にて「第1回横濱OneMMセッション」を開催し、みなとみらいにオフィスを持つ7~8社の社員が集まった。仕事やメンバーの自己紹介から始まったという。

 現在、横濱OneMMのFacebookメッセンジャーに登録されているメンバーは100人を超え、OneMMが開催する各種イベントを訪問した人が務める会社は累計30社以上にも上る。「メンバーの中心は20~30代で、性別でいうと8~9割が男性、女性は1~2割です。みなとみらいには富士ゼロックス、千代田化工建設、レノボ・ジャパン、京セラなど、理系の企業や研究所が多いためか、どうしても男性メンバーが多くなりがちですが、今後はもっと多くの女性にも参加してもらいたいと思っています」(田中さん)

2019年8月にNRI社内で開催した第3回定例会にて。恒例の「おねむ」ポーズで
2019年8月にNRI社内で開催した第3回定例会にて。恒例の「おねむ」ポーズで

 以後、約1カ月半に1度、2~3時間にわたる定例会を開催。開催場所は初回の富士ゼロックスの「共創スペース」に続き、2回目は資生堂グローバルイノベーションセンター(S/PARK)、3回目はNRI横浜拠点カフェテリアイベントブース……と、メンバーが持ち回りで勤務先の会議室を手配する。

ミッションやビジョンはあえて明確に設けない

 「横濱OneMMのミッションやビジョンは?」と聞かれ、3人は顔を見合わせて笑った。「まだ手探りなのですが、ミッションやビジョンを明確にし過ぎると、活動が同質化してしまい『メンバーはこうあるべき』と堅苦しくなったり、参加のハードルも上がったりしてしまうと思うんです」(田中さん)。「飲み会で自然に話題に出てくるような、メンバー個々のやりたいことやテーマを『この指とまれ』で進めていける場を大事にしたいと考えています」(土井さん)

 つまり、活動内容が型にはまらないよう、あえて自分たちの存在意義や活動内容を定義しないようにしている。同じ狙いで、メンバー間の関係性もフラットにし、代表や運営メンバーは置いていない。