企業内の若手チームに注目し、取材する本連載。第13回で取り上げるのはデジタルカメラ等を販売するニコンイメージングジャパン(東京・港)の新規プロジェクト「NICO STOP(ニコストップ)」。リーダーの中里健太さん(35歳)、メンバーの山田大輔さん(35歳)、小野秀人さん(27歳)にチーム発足の経緯や現在の活動内容、今後の展開を聞いた。

始まりは入社後すぐの社長プレゼン

ニコンイメージングジャパンの新規プロジェクト「NICO STOP」。中央がリーダーの中里健太さん。左端がメンバーの山田大輔さん、右端が同じく小野秀人さん
ニコンイメージングジャパンの新規プロジェクト「NICO STOP」。中央がリーダーの中里健太さん。左端がメンバーの山田大輔さん、右端が同じく小野秀人さん

 ニコンイメージングジャパン・マーケティング本部・広報宣伝部・メディアコミュニケーション課の中里健太さん、山田大輔さん、営業本部・第二営業部の小野秀人さんの共通点はニコンイメージングジャパンで働き始めた時期だ。新卒時代からニコンに勤務する小野さんが2018年4月に出向し、少し遅れてあとの2人がキャリア採用で転職してきた。

 その11月、社員に加わって間もないメンバーたちは自身が思う経営課題を経営層に向けてプレゼンする機会が設けられた。「1人の持ち時間は10分程度。中里さんだけ時間をオーバーして熱弁を振るっていました」(小野さん)

前職で営業・広告・商品企画を担当していた中里さん。社会人10年目を区切りとして「好きな写真に関わる仕事をしたい」と考え、同社への転職を決めた。中里さんが手にしているのはウェブサイト「NICO STOP」に掲載したコンテンツを基に制作した店頭冊子
前職で営業・広告・商品企画を担当していた中里さん。社会人10年目を区切りとして「好きな写真に関わる仕事をしたい」と考え、同社への転職を決めた。中里さんが手にしているのはウェブサイト「NICO STOP」に掲載したコンテンツを基に制作した店頭冊子

 「社内でトップ級に写真が好き」と評される中里さんは、プライベートで同世代の友達と写真を撮る機会が多く、20~30代のニコン離れに対して危機感を抱いていた。そのため、ニコン離れを実証する市場データと共に、若年層向けウェブメディアを立ち上げ、このサイトを核に、イベントや店頭冊子、コミュニティ、グッズ企画・販売などに展開するという案をパワーポイント資料にまとめて発表した。

 中里さんの上司でメディアコミュニケーション課・マネジャーの大塚拓さんは言う。「若年層のニコン離れは会社の課題として元から認識されていました。しかし、それを解決する具体的なアイデアを提案する社員がなかなか出てこなかったこともあり、中里の意見はそこに一石を投じる格好になりました」

 ほどなく社長からゴーサインが出たため、中里さんは社内のキーパーソンに声を掛けていく。「ウェブ回りに強い人」「デザインが得意な人」「イベント運営スキルがある人」「社内人脈が広い人」……、プロジェクト推進に必要な人材を集めていった。山田さん、小野さんもこのときからメンバーに名を連ねている。