日本発信「グローバル企業のメリットを生かした働き方」

 マッキャンミレニアルズの活動は、会社から全面的にバックアップされており、予算も配分される。「例えば、運営メンバーが翌年の運営を話し合う合宿費や隔週開催のイベント運営費などは、会社から予算が出ます。運営メンバーは役員会議に出席し、活動報告をしています」(松坂さん)

 設立当初は、経営側から「いくら投資したら、どのくらい利益が生み出せるか」と聞かれたそう。しかし、「ビジネスとして考えるのであれば新部署を立ち上げることもできる。今回はそれよりも若手社員の自主性を重んじたい」と有志団体としてスタートさせることを選択。ただし、今では想定以上の売り上げを生み出すようになり、経営側から「稼ぎを意識せず、自由と面白さを追求してほしい」と言われるほどに成長した。

 目下、松坂さんが新しく社内で取り組んでいるのは、国境を越えて働く「マッキャン・ノマド」だ。

 「働き方改革の一環で、会社はリモートワークを推奨しています。すると、大阪にいても海外にいてもさほど状況は変わらないんですよね。一方で、移動と創造性には相関性があるとも言われているので、せっかくならダイナミックに動こうと、東京・シンガポール・タイ・オーストラリアのオフィスでそれぞれ試験的に一人ずつ他国のオフィスにデスクを置いて働くプロジェクトを提案し、2019年6月から実践しています」(松坂さん)

シンガポールオフィスで撮影した1枚。左の男性は、東京オフィスから参加している、「マッキャン・ノマド」制度の設計者の一人でもある澤田直幸。後列中央の男性は、オーストラリアオフィスからマッキャン・ノマドに参加しているマット。前の女性2人はマッキャン・ワールドグループのアジアの人事メンバー
シンガポールオフィスで撮影した1枚。左の男性は、東京オフィスから参加している、「マッキャン・ノマド」制度の設計者の一人でもある澤田直幸。後列中央の男性は、オーストラリアオフィスからマッキャン・ノマドに参加しているマット。前の女性2人はマッキャン・ワールドグループのアジアの人事メンバー

 着想のきっかけは、松坂さん自身の体験にあった。実は松坂さんは2017年7月から、1カ月のうち7~10日間を東京オフィス、残りはマレーシアオフィスで勤務している。

 「もともとグローバル企業のメリットを生かす働き方をしたいという問題意識がありました。年中温暖で過ごしやすいこと、イスラムのマーケットについて学べること、安全性と生活費のコスパも高いことから、マレーシア移住を検討。会社側に、ミレニアルズ世代の人材の流動性アップと有機的なネットワーキングを実現するために、マレーシアを拠点にして働きたいと提案したときはビックリされましたが、半年後に実現しました」(松坂さん)

 そんな松坂さんに触発され、上坂さんはマッキャンエリクソンが23階に本社を構えるビルの20階にあるグループ会社に、2019年8月から3カ月限定で「出張」し、研さんを積んでいる。「もともとグループ会社なのにフロアごとに空気が全然違うことに違和感があったんです。自分にできることはまだ分かりませんが、物理的に移動することで課題を明らかにしていきたいと思います」と上坂さん。