企業内の若手チームに注目し、取材する本連載。第4回で取り上げるのは、NTT東日本のビジネス開発本部・第二部門・アクセラレーション担当チーム。このチームの発案者である山本将裕さん(32歳)、2018年3月から参加している実松佳奈さん(36歳)、2019年7月に加わったばかりの井上麻衣さん(27歳)に、活動の経緯や内容、参加した前後で経験した仕事に対するパラダイムシフトについて聞いた。

常に新規事業の企画書を持ち歩く

左から、ビジネス開発本部・第二部門にアクセラレーション担当の実松佳奈さん、山本将裕さん、井上麻衣さん
左から、ビジネス開発本部・第二部門にアクセラレーション担当の実松佳奈さん、山本将裕さん、井上麻衣さん

 「従来型の光回線販売を中心とした業務だけ行っていたら会社として先細りになる」――。2015年末、当時NTT東日本のビジネス開発本部・第四部門・コラボレーション推進を担当していた山本将裕さんは、こんな危機感から「スタートアップ企業と事業連携して事業拡大を図るアクセラレーションプロジェクトを社内で興したい」と考えた。その構想を企画書にまとめ、事あるごとに部長に見せては提案を繰り返し、2017年1月、やっと「新規事業を行うための社内チームを作ってよい」という指示を勝ち取った。

 実は山本さんは、2015年から業務時間外にNTTグループを横断する若手有志団体「O-Den(おでん)」の発起人でもある。2017年に社内チームを新設することになったときも、このO-Denのメンバーを含めた約20人の社員が集まった。決起集会を開催した後、住宅展示場を会場にしたアイデアソンをしてみたり、他社のゲストを招いてデザイン思考について学んだりする施策を行った。

 さらに半年後、山本さんの念願がかない、スタートアップ企業と組んでビジネスを推進する取り組みが社内で予算化され、ベンチャー企業5社と協業検討に入ることが決まった。当時のチームメンバーは6人。「6人で会議室にこもって、どんなベンチャーと何をするのか新しい取り組みについて議論しました。皆、ベンチャーマインドがあるタイプの人間だったので、楽しんでやっていたという感じです」(山本さん)