「働き過ぎ」が不安に

 起業したばかりのころは、寝る時間も惜しんで仕事に没頭する日々が続いていたという松田さん。周囲から強いられていたというより、「自分自身が夢中で楽しんでいる感覚」でしたが、それゆえに「働き過ぎ」の状態をふと不安に感じるようになったそうです。

 「事業の責任者として、変化の多い環境の中で経営判断を下していく必要に迫られるからこそ、自分の心と体は『きちんとコントロールができている状態』でいたいと考えるようになりました。夫がかなりの筋トレ好きで、頻繁にジムへ通っていたので、最初は『一緒にリフレッシュしよう』というくらいの気持ちでついていくようになったんです」

 実際、久しぶりに体を動かしてみると、仕事のことでいっぱいだった頭の中がスッキリと空になる感覚に。まずは純粋に「気持ちいい!」と感じられたことが、トレーニングに熱中していったきっかけでした。

「誰かに守ってもらえるわけじゃない」

 一方で、それを毎日の習慣にするよう意識し始めた背景には、経営者としての責任感も。

 「権限と責任が限定されている『若手社員の1人』だったころより、小さな組織であっても『経営を意識する立場』になったことで、自分の働き方も、生活も、主体的にマネジメントしようという姿勢に変わりました。もちろん、困ったときに助けを求められる仲間はいますが、『誰かに守ってもらえる』という甘い気持ちでは務まらないからです」