「活用」は成果、「活躍」はまだまだ

 労働力不足を補うために女性を「活用」しようという姿勢は、リーダーシップの地位に女性が不足している現状にも表れています。2003年に掲げられた「2020年までに指導的地位に占める女性の割合を30%」まで増やす目標は、「2020年代の可能な限り早期」にまで先送りされました。世界経済フォーラムが発表する「ジェンダー・ギャップ指数2020」についても、日本は153か国中121位となり、前回よりも順位を下げています。

 こうした数字からも、女性の「活用」には一定度の成果が上がっても、「活躍」には道半ばであることがうかがい知れます。

 加えて重要なことは、経済分野においては女性の活躍が盛んに議論されてきたものの、人権という視点では不十分であった点です。

 2017年以降、ジャーナリストの伊藤詩織さんが性暴力に関する訴訟を起こしたり、財務省で事務次官を勤めた福田淳一氏がセクハラを報じられ辞任したり、ブロガーのはあちゅうさんがセクハラ被害を受けたことを告発するなど、日本でも #MeToo 運動が注目を集めました。

 しかし、性差別や女性の権利に関する問題については、政府は十分なアクションを起こしていないと指摘されます。閣僚などからはいまだに性差別的な発言も繰り返され、従軍慰安婦問題など女性の人権に関わる問題についても、いろいろな意見があり、十分な理解が広まっていません。