女性活躍推進、政治の分野でも進んでいない
―― 安倍政権は2020年までに女性管理職比率を30%にするという数値目標を掲げましたが、それも未達に終わりましたね。
能條 それだけでなく、いまだに選択的夫婦別姓、同性婚も認められていません。女性管理職比率が30%いかなかったということも気になったのですが、女性議員の比率が少ないことがとても気になります。安倍さんは自民党のトップで、自分の組織だからこそ、変えようと思えば変えられるはず。
2018年にはフランスの候補者男女同数法(パリテ法)に似た、「日本版パリテ法」と呼ばれる候補者男女均等法が成立しましたが、自民党の女性候補者は10%台から一向に上がっていない。これはやる気がないのか、実力がないのか。もっとジェンダー平等な社会になってほしいと思います。
就活でも根強く残る格差
日本はジェンダーギャップに関しては根強い課題があると思います。今、就職活動をしていても、大学が女子学生向けの就職説明会で「育休の取りやすい会社を選ぼう」と説明している場面も見かけます。政府も男女共同参画を議論するときに「女性が子育てと仕事を両立しやすいように」と伝えています。なぜ、女性だけが子育てと仕事を両立するのか。男女それぞれが両立してもいいはずです。
女性というだけで何かを諦めたり、選択肢が狭まってしまったりするような状況なので、私自身も子どもがほしいという気持ちを持ちづらくなっています。このまま子どもを産んでも、子どもに対して無責任だなと感じてしまう。
―― 今回、新総裁は菅義偉官房長官が選出されました。総理候補として名前が挙がった人たちも全員男性ですね。
能條 そうですね。これでは私たちの世代よりももっと下の世代でも「政治は男性がやるもの」というステレオタイプな考えが再生産されてしまう。女性活躍といっていたのに、女性候補者が一人も出ないという状況はどういうことなのだろうと疑問を抱きます。