23歳でプロゲーマーの道に

 いきなり無職になったたぬかなさんは、アルバイトを4つ掛け持ちします。その中のひとつで、目指していた正社員の道を掴みました。

「20才ぐらいの頃、アパレル会社に入社しました。休みがきちんと取れたので、長期休みには東京に遠征することもできて、ゲームにのめりこみやすい環境になりましたね。社員のランクも上がっていたのですが、都会に出てチャレンジするなら今しかないと考えて、プロゲーマーの面接を受けることにしました。23歳のときです」

 そして、たぬかなさんは現在所属するCYCLOPS athlete gamingを運営するeスポーツコネクトの公募に応募しました。当時使用キャラクターの全国ランキングで1位だったたぬかなさんに、会社は「ゲームのことだけ考えていてほしい。専業として暮らしていける月給も出します」と提案、それを受けてたぬかなさんはアパレル会社を退社し、プロゲーマーとしての第一歩を踏み出しました。ご両親の反対もありましたが、「とりあえず半年チャレンジさせて」と説得し、故郷の徳島から大阪に出てきたそうです。

強さと能力があれば男社会でも生きられる

 プロゲーマーの世界は男性がほとんど。たぬかなさんは、女性であるからこそのメリット、デメリットがあると言います。

 「女性が少ないからこそ、いい意味でも悪い意味で目立つんですよね。ゲームに勝ってもそれを正当な実力と認められず、女だから手加減されたんだなと言われることがあります。でも良い面もあるんです。例えば、私は大会で毎回優勝できるような強いプレーヤーではないんですね。だけど、女の子だから目立つという理由でスポンサーが付くこともあります。一概に女だから良い悪いって言うのはなくて、どっちもありますね。」

 とはいえ、性差別を感じるシーンは多いそう。たぬかなさんは、「女の子ってだけで叩かれます。それは男性には絶対にない。でも自分でちゃんと腕を磨いて上に行けば行くほど、そういうことは減っていくんです。女のくせにという批判を寄せ付けないくらいの強さや能力を手に入れて、何も言わせないようにしてしまうところまで行かないときつい。だから、女性のプロゲーマーは少ないんだと思います。もし女性でプロゲーマーを目指すんだったら、生半可な気持ちでやらず、ガチでやるべきだと思います」と熱く語ります。

 学生時代からずっと大好きなゲームに真剣に取り組んできたたぬかなさんは、自分のゲームに対する真摯な態度がファンに認められていると考えています。

「胸の谷間を出して自撮りする、ゲームに対して真摯ではないアイドルっぽい女子がゲームの世界に来ることがあるんですよ。でも、そういう人はSNSでフォロワーが増えても、すぐにみんな離れていきます。私は関西の狂犬のように言いたいこと言っておもしろいなと思われているし、ゲームに真面目に取り組んでいるからフォロワーも減りません。やはり実力主義の世界ですからね」