女性が自分の体をメンテナンスするための選択肢の一つが、「子宮内黄体ホルモン放出システム(Intrauterine System=IUS)」です。商品名は「ミレーナ52mg」。この装置は女性の子宮内に装着して使用します。女性特有の病気の治療に用いられることもあり、生理がつらい女性の負担軽減や避妊にも効果があるそう。どうやってつけるの? どれくらいの期間入れていていいの? こうした気になる疑問に、産婦人科医の高橋怜奈さんが答えてくれました。

生理がつらければミレーナも保険適用で装着可能

 ミレーナが子宮の中で黄体ホルモンを出し続ける期間は、約5年。5年が経過したら産婦人科で取り出します。費用は、避妊目的の場合は保険適用外となり、自己負担額が5万~10万円程度(施設によって異なる)。過多月経や月経困難症の処方としての装着なら、保険適用で自己負担は2万~3万円ほどだそう。ミレーナを入れている間に、妊娠希望が生じた場合は産婦人科に行って取り外してもらう必要があります。妊娠を数年以内に希望している方は「せっかくお金を払うのに、まだ使えるうちに取り出すのはもったいない」と思うかもしれません。その場合は使用を見合わせたほうがいいでしょう。

 「5年間、低用量ピルを飲み続けるとしたら、保険適用外でミレーナを使う場合でも、ミレーナを装着するほうがリーズナブルです。妊娠したくなったら、医師に外してもらえば問題ありません。低用量ピルを服用したいけれど飲み忘れが心配という方や、5年以内での妊娠は予定していない方には特にお勧めです。私は、今は低用量ピルが体に合っているので続けていますが、将来はミレーナを入れたいと思っています」と高橋さんは言います。

 では、反対にミレーナを使うことによるデメリットはあるのでしょうか。「ミレーナを装着してから3カ月くらいの間は、子宮から外れて出てきてしまうことがあります。ミレーナは鶏卵大の子宮内に収まるほど小さいため、気付かずにトイレで流して無くしてしまうことも。その点はデメリットかもしれません」と高橋さん。ちゃんと装着されているかチェックするために、1カ月後、3カ月後など婦人科で定期的にエコーによる検診を受ける必要があるそうです。